宇宙世紀0079年1月6日
「アイランド・イフィッシュ」落下軌道上
待ち望んだ時は、日付が変わって数時間後に訪れた。
ジャミングが途切れ、コロニーの正確な落下軌道が掴めた刹那の間。
≪作戦開始!目標………イフィッシュ後端、核パルスエンジン!吶喊せよ!!≫
4戦隊司令の号令で、飢えた猛禽達が解き放たれた。
36隻ものパブリク型突撃艇が、ブースターに点火し加速を開始する。
その前方に、第4戦隊所属のセイバーフィッシュ中隊がエスコートすべく滑り出た。
更に周囲を旗艦カサブランカ以下、第4戦隊のサラミス級4艦が随行する。
攻撃目標は唯一つ。
コロニーを押し進める、核パルスエンジン。
現状投入可能な最大の火力を、標的に叩き付ける。
障害となるのは護衛艦隊のピケットライン。
何層も張り巡らされているであろうそれを、火力と機動力で強行突破する。
損害問わず。1艦、1艇でも射程に辿り着けば、それで良い。
コロニーを少しでも足止めし、ルナツー艦隊が展開する時間を稼ぐのだ。
1つの暴風となって、コロニーを目指す攻撃隊。
切り札となる8宙雷の突撃艇群は、4戦隊に守られるよう飛んでいる。
その中の1艇………ペネトレート7を指揮するラビニア・クォーツ少尉は、艶やかな唇を一嘗めして呟いた。
「さぁ………地獄巡りよ。」
データリンクの状態が表示されているモニターを確認。
今のところ正常に作動しているが、遠からず敵襲を察知した護衛艦隊によってジャミングされるだろう。
そうなれば、どこまで連携が保てるか怪しいものだ。
「頼むぜ、オレに仕事をさせてくれよ。」
「護衛機に言ってくださいよ。
弾幕はともかく、敵機に張り付かれたらたまらない。」
「畜生………核弾頭かマゼラン級でもありゃ、もう少しラクなんだがなァ。」
口々に愚痴る宙雷士と装舵手。
2人とも、緊張を会話で紛らわせようと必死なのだ。
その軽口の応酬に参加せずモニターを睨んでいた通信士が、緊迫した声で叫んだ。
「艇長!」
「来たわね………!」
"LINK DISCONNECTED"と簡潔に表示されたモニター。
ついに、ジャミング圏内………「霧」の中へと、足を踏み入れたのだ。
「データリンク切断!近距離用のものを除き、
全ての通信回線とセンサーが死んでます!」
通信士が、切断直前に得られた情報を表示。
そこから先は、予測と目視、そして直感頼みとなる。
「装舵!後はアナタの腕次第よ。人生最高のダイブをしてみせなさい!」
「了解!」
ラビニアの言葉を受け、操縦桿を握り直す装舵手。
半ば耳目を封じられた通信士は慌ただしくモニターの表示を切り替え、
生きている回線とセンサーを使用して装舵と宙雷のサポートに回る。
そして通信回線より、雑音混じりの警告が発せられた。
≪カサブランカより全ユニットへ。敵機発見!機数3、方位0-4-0、プラス20度!≫
≪ハルバード3、エンゲージ。11、12、我に続け。≫
前方に敵影。ピケットラインに接触したのだ。
3機のセイバーフィッシュが飛び出し、サラミス級が砲撃開始。
単装砲よりメガ粒子の奔流が次々放たれるが、命中には至らない。
「………何よ、コレ。砲手は酔っ払ってるの?それともルーキー揃い!?」
思わず舌打ちするラビニア。
百発百中と言っても過言ではない、最新鋭の砲雷撃管制システムを使用していながら、何たるザマだ。
「………ジャミングによる影響が砲雷撃管制にまで及んでます。
レーダー照準、熱源追尾、共に不能。目視照準にて射撃中!」
「何だとう!?」
予想外の事態に思わず声を上げる宙雷士。
彼の仕事であるミサイル雷撃の管制は難易度が跳ね上がった事になる。
センサー類だけでなく、電子戦兵装の一切を無力化する強力なジャミング。
ラビニアの背筋に、嫌な汗が流れる。
………しかし、既に賽は投げられたのだ。
ルビコン川は渡らねばならない。
≪カサブランカより全ユニットへ。新たなる敵影3。方位3-1-0、マイナス10度。≫
≪ハルバード2、エンゲージ。6、続け。≫
≪モーリシャス、砲撃開始。≫
≪………らハルバード10………の機………はガトル型………≫
続々と続く友軍の報告。
直援のセイバーフィッシュ中隊………ハルバード隊は、
ジオン公国軍のガトルを相手に優位に戦っているようだ。
ドッグファイトでセイバーフィッシュが遅れを取るなど有り得ない。
艦隊の援護下かつベテランパイロット揃いなら尚更だ。
………この程度で!
ラビニアに限らず、誰もがそう思っている事だろう。
口の端がつり上がる。
面白い。
もとより、殴れる距離まで突っ込むのが突撃艇の本分だ。
有視界戦闘になろうが、目視照準になろうが………
突撃艇乗りが、この程度で臆するものか!
「宙雷!」
「シーカー、カット!無誘導で撃ちます!」
「上等よ。装舵、通信は全力でこれを支援!意地でも当ててみせなさい!」
「了解!!」
クルー達は冷静だ。これなら問題ない。
そう判断し、視線を正面に戻した時。
≪ビザンより全ユニットへ。イフィッシュを目視。繰り返す、イフィッシュ目視!≫
ついに、標的を肉眼で捉えた。
核パルスエンジンの劫火を引いて宇宙の闇を切り裂くコロニー。
地球の北極側を上方、南極側を下方とするならば、攻撃隊は上方より逆落としにコロニーへと突っ込む形となる。
「捉えた………!」
思わず声がでる。それを諫めるように、中隊長からの指示が飛んだ。
≪ペネトレート1より各艇!焦って飛び出すなよ、現隊形を維持!≫
≪新たなる敵影4!方位0-4-0、プラス60度………巡洋艦1を含む!≫
≪同じく敵影4。方位1-1-0、プラス10度!編成同じ!≫
重ねるように警告。いよいよ敵の迎撃も激しくなってきた。
こうなると、直援が1中隊のみでは支えきれない。ここからが本番だ。
≪ハルバード1、エンゲージ。突撃艇に近寄らせるな!≫
次々とエンゲージをコールし、突っ込んでゆくセイバーフィッシュ。
サラミス級の砲撃も更に激しさを増し、ガトルを接近させまいと弾幕を張る。
目視照準なのは敵も同じなのか、巡洋艦の砲撃は虚空を貫くばかりだ。
砲雷撃はお家芸、と豪語する連邦のベテラン砲手達は当初の混乱から立ち直り、
挟叉弾から至近弾、そして直撃へと繋げる砲撃を行い、1隻目の巡洋艦を撃沈せしめた。
………これなら行ける!
徐々に大きくなるコロニーを睨み、最終加速までのカウントダウンを開始した時。
≪新たなる敵影3!方位0-0-0、プラスマイナス0度!真正面からだ!≫
火力を集中させやすい、正面からの接近。
すぐさま4艦全てから砲撃が開始され、直援のセイバーフィッシュ3機が前進する。
しかし敵機は、軽々とメガ粒子の砲弾を回避した。
ガトルなどとは一線を画する、踊るように鮮やかな機動。
「………何?」
一瞬の出来事だった。
反航戦で牽制として放たれた25mm機関砲をあっさりかわし、
交錯したと思った時には3機のセイバーフィッシュは閃光となっていた。
「………射撃用意!連装小型MSL及び40mm!!」
「レ、レディ!」
鋭い指示に宙雷士はすぐさま補助兵装の射撃管制に移る。
パブリクの機首に設けられた6連装小型ミサイルランチャー2門と40mm機関砲4門。
主兵装たる大型ミサイルとは比べるべくもないが、重要な自衛装備だった。
「装舵、最終加速用意!表示するカウントに従いなさい!
通信、装舵の補佐へ!編隊が乱れる可能性が高いわ、警戒を厳に!」
矢継ぎ早に指示を出す間にも、敵機は軽快な機動で接近してくる。
弾幕を嘲笑うかのように真正面から切り込んでくる敵機。
もはや肉眼で捉えられる距離まで到達したそれは、見紛う事なき「人」の形をしていた。
「………人!?いえ………ロボット!?」
「冗談でしょう!?」
≪各艇、隊形を崩すな!このまま突っ切る!!≫
混乱する突撃艇乗り達を、ペネトレート1が叫ぶように制する。
そしてついに、「巨人」達が攻撃隊に取り付いた。
3機の巨人は突撃艇と直援機には見向きもせずに、4戦隊のサラミス級を狙ったのだ。
ラビニア達から見て左舷上方を航行していたモーリシャスが標的となった。
すれ違い様、正確に単装砲の砲塔部を撃ち抜く。
≪モーリシャス被弾!右舷及び上部単装砲、大破!≫
「速い!」
唖然とするラビニア。
手足を振って振り向き、追撃に移る3機の巨人。
2機が機銃を引き付けた隙に、1機が艦橋を踏み潰すように「着艦」。
手に持った「銃」を足下へ掃射して飛び上がる。
残る機銃と単装砲は尚も射撃を続けていたが、距離を取った1機が放った「バズーカ」が推進部に直撃。
モーリシャスは、巨大な火球となって轟沈した。
「………!!」
あまりの光景に、思わず言葉を失うラビニア。
≪カ………カサブランカよりビザン、アマデウス!弾幕張れ!!≫
≪ハルバード1より各機!最優先だ、あの巨人を墜とせ!!≫
突撃艇を守るべくサラミス級が、セイバーフィッシュが巨人を追う。
それを軽くあしらいながら、3機の巨人は次なる獲物………アマデウスへと狙いを定めた。
半ばパニック状態に陥った4戦隊をよそに、突撃艇の編隊は乱れる事なく飛び続けた。
≪ペネトレート1より各艇。≫
いつもに増して静かな中隊長の声。
その声に、ラビニアもまた冷静さを取り戻す。
手元のモニターのカウントダウンは、10秒を切っていた。
≪全ブースターに点火、最終加速開始。突撃艇、前へ。≫
「………加速開始!」
その言葉を待っていたかのように、装舵手がスロットルを押し込んだ。
パブリクの艦体後部、眠っていた4発の大型ブースターが目を覚ます。
僅かな火種は推進剤を貪って、瞬く間に巨大な推力を産む噴炎へと成長した。
爆発的な加速に、身体がシートへ押し付けられる。
まるで弾かれたかのように、全突撃艇が最終加速。
呆気にとられる3機の巨人と4戦隊を後に残して、「ヘル・ダイブ」が始まった。
ジオンのパイロット達は、初撃で突撃艇を狙うべきだった。
彼らは後続機を援護するため………そして最も目立つ脅威を排除するため、
サラミス級とセイバーフィッシュを相手にしてしまった。
………巡洋艦と直援機を沈めれば、小型艇などいつでも血祭りに出来る。
その判断は誤りではない。
少なくとも、最終加速が開始される前までは。
「前方、巡洋艦2、敵機5、訂正6。接触まで10!
その奥、更に巡洋艦4!接触まで25!!」
通信士の警告。
2隻の巡洋艦が進路上を塞ぐように展開し、巨人が砲口をこちらへ向けている。
≪兵装使用自由!任意に射撃して良し!≫
「連装小型MSL、撃ち方始め!」
「MSL、リリース!」
主兵装の大型ミサイルを除く補助兵装の射撃許可が下りると同時に、
連装小型ミサイルランチャーを発射。
他の艇もそれに続き、無数の小型ミサイルが無誘導で文字通り"バラ撒かれた"。
さながら投網のように放たれた小型ミサイルの弾幕に、
巨人は肩のシールドで頭部と胸部を守るように身をすくめ、巡洋艦も機動を乱す。
そして、カーニバルのような爆発が咲き乱れた。
一発一発は大した破壊力を持たないが、数が多すぎる。
閃光が消えた後には手足を破壊された巨人が漂い、よたよたと退避運動を行う巡洋艦の艦体は、無惨にも耕されていた。
それを無視して、突撃艇は突き進む。
もとより、護衛艦隊に用など無いのだ。
「連装小型MSL、再装填!」
「レディ!」
「砲撃、来ます!」
次の防衛ラインに展開する艦から、メガ粒子砲による砲撃が開始される。
しかし密度は薄い。機銃座による弾幕の展開すら無かった。
それをカバーするかのように巨人が展開し、機関砲相当の銃で射撃を開始。
だが、彼らは連邦宇宙軍の壁のような弾幕を相手に訓練してきた、生粋の突撃艇乗り達だ。
宇宙軍の誇る命知らず達なのだ。
「ヌルいわね。」
「このまま突っ切ります………!」
戦闘による興奮が滲む装舵手の声。
その直後、視界の端で味方が被弾した。
≪………ペネトレート11被弾!ミサイル発射する!!≫
右舷巡航用ブースターから火を噴いたペネトレート11は、即座に大型ミサイルを発射。
標的はコロニーではない。眼前の敵巡洋艦だ。
更に、自身もそのまま敵艦に突っ込む進路を取る。
もとより、生還など考えていない。
差し違えても標的を潰す。
ミサイルを抱えたまま墜ちるなら、1人でも多く道連れにする。
それだけが、突撃艇乗りの任務なのだ。
泡を食って回避行動に移る敵巡洋艦に、大型ミサイルとペネトレート11が「着弾」した。
一際大きな閃光の花が咲く。
「………!!」
「怯むなッ!そのまま突っ込みなさい!!」
「了解………!」
乱れた防衛ラインを突破する突撃艇。
更にその後方より、4戦隊の生き残り………カサブランカとビザン、そして数機のセイバーフィッシュが突入を開始した。
連邦軍を迎え撃つ、狂ったようなメガ粒子砲による砲撃。巨人達の弾幕。
機首に被弾し、ミサイルと共に突っ込むパブリク。
巨人のバズーカから放たれた核弾頭が、友軍もろともビザンを吹き飛ばす。
パブリクを追撃すべく身を翻した巨人の背に、
セイバーフィッシュの対艦ミサイルが突き刺さる。
突っ切ろうとする突撃艇に体当たりし、閃光に消える巨人。
戦場は、まさに地獄絵図の様相を呈していた。
「………全艇へ!射程に入り次第、ミサイルを発射!」
最早通じているかも定かではない通信回線。
第8ミサイル雷撃艦隊は、その数を大きく減らしていた。
ペネトレート1………中隊長は既に巡洋艦を道連れに戦死。
先任の者も次々死んで行き、ついにはラビニアに中隊の指揮権が任された。
もっとも、中隊12機の内、生き残っているのは3機のみ。
艦隊の約7割は既に塵と消えているだろう。
4戦隊に至っては、カサブランカを残すのみのようだ。
だが、ついに標的………コロニー後端部、核パルスエンジンを射程に捉えた。
「あと3度………2度………照準………良し!」
宙雷士と通信士が計算したミサイルの命中軌道に、装舵手が死に物狂いで合わせる。
友軍数艇が追随しているのを確認し、ラビニアは叫んだ。
「ペネトレート7、ミサイル発射!!」
「ミサイル………リリース!!」
ラビニアと宙雷士の声と共に、軽い衝撃。
そして底部より、2発の大型ミサイルが解き放たれた。
≪ペネトレート8、ミサイル発射!≫
≪ペネトレート12、ミサイル発………≫
次々と放たれる大型ミサイル。
同時に、ペネトレート12へとメガ粒子砲が直撃した。
「突入用ブースター、パージ!離脱開始!!」
「ブースター、パージ!離脱………開始!!」
爆散する友軍機を背に、機体を翻すペネトレート7と8。
他中隊のパブリクも次々とミサイルを発射し、ブースターを切り離して離脱する。
「着弾まで10!9………8………」
「頼むぜ、ここまで来たんだ………当たってくれよ………!」
カウントを読み上げる通信士と、祈るような宙雷士の声。
ラビニアもまた、周辺を警戒しつつも後方モニターでコロニーを見ていた。
巨人の弾幕で迎撃される大型ミサイル。
だが、全ては止まらない。
核パルスエンジンの基部へ向け、吸い込まれるように飛び続ける。
「4………3………弾着、今!」
コロニー後端部に、爆発。
核パルスエンジンの劫火が、僅かに咳き込む。
4戦隊と8宙雷の、サイド2出身の兵士達の執念が成功させた攻撃だった。
「………思い知ったか、ジオニスト共!ハッテ生まれ舐めんなよ!!」
喝采を上げ、後方へ向け中指を突き立てる宙雷士。
核パルスエンジンの完全破壊には至らなかったが、
ルナツー艦隊の時間稼ぎ程度の役目は果たせたはずだ。
ラビニアも思わず、大きく息を吐く。
死神は、その瞬間を見逃さなかった。
「………敵機、直上!」
通信士の叫びと装舵手の悲鳴。
機体がロールし、回避運動を取るが間に合わない。
ラビニアが最後に見たのは、肩と頭部を白く染めた1つ目の巨人と、
切り裂かれた機体から吸い出されるクルー達の姿だった。
「………尉………えますか、少尉。クォーツ少尉!」
眩しい照明、人の声。
それを認識するまで、たっぷり数秒がかかった。
「良かった………ラビニア・クォーツ少尉ですね、聞こえますか?」
「聞こえるから………少しトーンを落として頂戴。頭が割れそうよ。」
顔をしかめて周囲を見渡す。
見たところ地獄では無いようだが、パブリクの艇内という訳でもない。
姿が見えるのは重宇宙服を着た連邦兵が2人………軍曹と兵長の階級章を付けている。
「地獄にしては、味気ない空間ね。そうなるとジオンの捕虜にでもなったかしら。」
「今後は判りませんが、今の所両方とも違います。
ここは、大破したカサブランカの艦内です。」
兵長に簡単な診察をされながら、軍曹に状況の説明を受ける。
………カサブランカは敵の攻撃を受け艦橋と機関部が大破。
撃沈こそ免れたが損傷は甚大で、艦首もへし折れスクラップ同然だという。
だからこそ、ジオン軍は見逃したのだろう。
しぶとく生き残った乗組員達は機能している電源とエアロック、
更に稼働するランチを確保。
ジオン艦隊の離脱を確認した後、生存者の捜索を開始したのだ。
艦内からは多数の生存者が発見されたが、周囲の残骸………撃破されたパブリクや敵機の捜索結果は惨憺たる物で、
ラビニアが唯一の生存者として、大破したペネトレート7から救出されたらしい。
既に、戦闘開始から半日が過ぎていた。
「………イフィッシュは?」
ラビニアの短い問いに、軍曹は表情を曇らせる。
「………不明です。ここから見えないと言う事は、落下を続けているのでしょう。」
「………そう。」
止められなかった。
中隊の面々とクルー達………その命を対価としても、まだ足りなかったと言う事か。
ラビニアは涙を武器とするタイプの女性でも、
感情を殊更押し殺すタイプでも無かったが、こんな状況でも涙が溢れる事はなかった。
ただ、炎の残滓がくすぶっているような虚しさだけが感じられた。
「………先ほど通信が復旧し、友軍艦艇と連絡が取れました。
アルジャーノンが我々の後を追ってきてくれていたようで、
あと小一時間ほどで周辺宙域に到着します………。」
軍曹の説明はその後も続いたが、ラビニアは覚えていなかった。
少し休んでからランチの船体に掴まり………船内は重傷者で一杯だった………
残骸の群れの中を、アルジャーノンの箱型の艦体へ向け進んでいた。
周囲には無数のパブリクやセイバーフィッシュ、そして巨人の残骸。
特徴的な1つ目の頭部を見る度、最後の光景が鮮明に思い出される。
「………上等だわ。」
くすぶっていた炎が、再び燃え上がる。
砕けた1つ目の頭部を睨み、ラビニアは決意した。
「地獄へ行き損ねたなら、また飛び込むだけよ。
道連れが足りないと言うのなら、デカブツを何匹でも連れて行ってあげるわ。」
"ペネトレーター"………1発の貫通弾として。
クルー達を、戦友達を、故郷を奪い去った巨人の、最後の1匹を撃ち貫くまで。
彼女の戦いは終わらない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「突撃艇」という名前が既に、無謀の塊だと思います。
連装小型ミサイルランチャーと40mm機関砲はGジェネには登場しませんが、
実はパブリクに標準装備されている補助兵装らしいです。
何故登場させなかった。これさえあればもう少し………!
S2艦隊や第4戦隊、第8ミサイル雷撃艦隊の攻撃が、
ブリティッシュ作戦をどこまで妨害できたのかは一切不明です。
ただ、ティアンム艦隊はルナツーから軌道上への展開が間に合い、
それでもコロニーは地球へと落下しています。
もし、彼らが攻撃しなければ、ティアンム艦隊は間に合わなかったかも………。
そうなれば、コロニーは崩壊する事無くジャブローを直撃していたかも………。
そう考えながら書きました。
いつもありがとうございます。
白狼はZEROだと最初に相手にする敵エースパイロットで、
志願兵のセイバーフィッシュが返り討ちにあった記憶があります。
今回の登場は友情出演、特に伏線等はありません。悪しからず。
IGLOOの本は読み応えがありますね。裏設定好きなので衝動買いしました。
漫画だとレガシーやバニシングマシン、オペレーション・トロイの影響が大きいです。
時間に余裕が出来たので、物語を考えられる時間も増えました。
動画、SSともにペースを保って投稿したいものです。
Posted by 猫屋誠一郎 : 31/May/2011 23:16
いやぁ…、熱いなぁ…。
自分、割と物語の登場人物への感情移入が得意なほうで、宙雷士の「ハッテ生まれ舐めんなよ!」って台詞にウルっときたりしました。万感あふれ出す叫びだよなぁ、と。
こういう設定集に一行くらいしか無い存在に対して妄想膨らませるのはほんとに楽しいですよね。
日本史、世界史でよくやりますが、ガンダム世界もどんどん歴史っぽく充実してきて嬉しい限りです。
猫屋さんのラビニアさんといえば、ガンダムX編のコロニーレーザー破壊作戦がとても印象に残ってます。
「きれい、まるで地獄みたい」っていう台詞(だったかな?)が大好きでw
この人は逆境で笑う人か、難題を粉砕して屑箱に叩き捨てる人なのか、と思ってニヤぁっと笑った覚えがあります。ツッコミ役としても優秀ですしね。ちょっと苛烈になりがちですがw
Posted by 涼 : 12/Jun/2011 16:08
ありがとうございます。
登場人物…特にモブに感情を込めすぎるのが、物語を作る際の自分の癖なようです。
マルセイユ隊や、最近だとヴァリー・フォージ隊や連邦海兵隊の面々とか。
Gジェネのオリキャラ達はある程度元のキャラが立ってて皆のイメージもあるので、
味付けには結構気を使うって面もありますが、
単純に名無しのモブがよく動く話が好物だってのが大きいですね。
ラビニア姐さんの「地獄が見えるわ」は実は元ネタがありまして、
「HELLSING」に登場する名無しの兵隊の台詞だったりします。
インスパイアという名の丸パクリですが、漫画もアニメも面白いので是非。
ラビニア姐さんは捕虜にとった連邦兵を拷m…もとい、尋問したり、
チャラーズことトニーやサエンを教育的指導したりと割とカッ飛んだキャラしてますが、
間違いなくオグマ、エルンストに続くOTエースですね。
今後も不可能や難敵を火力でねじ伏せてゆくと思います。
Posted by 猫屋誠一郎 : 12/Jun/2011 23:48
名前間違えたー!
上のコメントの「涼」ってのは僕です。うう…、お恥ずかしい。
そうでしたかHELLSINGでしたか。僕も大好きですよ。いちいち台詞が格好つけてるのが大好きですw 声に出して読みたい漫画のトップですね。誰かに聞かれたら恥ずかしいですがw
渋いモブが活躍するのは、みんな好きなはずです。コメントを見るとわかると思いますがw 猫屋さんが好きだと言うのなら、今後も大いに楽しみですねw
Posted by ウルカナス : 13/Jun/2011 21:25
| SU | MO | TU | WE | TH | FR | SA |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | ||||
| 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
| 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
| 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
| 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
うp乙です。
読んでたら弾幕の中に突っ込むパブリクが頭の中によぎって行きましたよ。そしてなんと、白狼が出てくるとは…
パブリクの装備には自分も泣かされました。まあ、ちょっと不便なほうが自分には面白ったんで、と防御魔改造仕様で補っていますね。
今後描くであろうパブリクやガトル、BAKUGEKIやセイバーフィッシュの面々などの資料作成のため中古屋の漫画買い占めてる最中です。MSイグルーのグラフィック本はかなり財布に効きましたが、満足できる内容でした。リジーナやムサイ級独特の流線形が難しい…。
あとノーマルスーツの件ありがとうございます。おかげでようやく「空が落ちた日」作業が再開、下書き8割完成して、ゆっくりかこう制作しようかと思ったら投稿早いから驚きましたよw
エルンストの兄貴は髪型が特徴なんでヘルメット姿で、かーなーり作業が難航しつつも順調に制作中です。
Posted by アッキー : 30/May/2011 23:04