「陸の王者」「究極のMBT」
そう謳われた61式戦車は間違いなく最強・最高の戦闘車両であり、
事実一年戦争においても61式は連邦陸軍の戦線を支えた傑作戦車である事に疑いの余地は無い。
しかし、その戦いは「血で血を洗う」と形容するに相応しい、壮絶な対MS戦の連続だった。
そう。王者の黄昏は、巨人の出現に始まったのだ。
ジオンの新兵器………MSの地上戦における有用性に関し、連邦陸軍は懐疑的だった。
宇宙空間では無類の強さを誇るザクも、1G環境下では18mの直立する巨大な標的に過ぎず、
強固な装甲を有しているとはいえ61式の150mm滑腔砲で充分貫徹可能なレベル。
そしてジオン兵は重力下………いや、「地球環境下」での戦闘経験が皆無だ。
地球でならば、自分達のホームグラウンドでならば負けはしない。
………その考えは長期的には正解であり、短期的には間違っていた。
そしてその間違いは、前線の兵士達の血で贖われる事となる。
ミノフスキー粒子の実用化によって戦場はその様相を一変させた。
あらゆる電子戦兵装は無力化され、61式はザクを相手に有視界戦闘を強いられる事となる。
衛星からのデータリンクで常識外の超長距離精密射撃を可能とした61式。
その最大のアドバンテージが脆くも崩れ去った。
そして、61式が一方的なまでにザクに撃破された最大の理由。
それは、連邦陸軍が侮ったその巨体にあった。
………ザクの攻撃は、61式に対しほぼ確実にトップアタックとなるのである。
装甲の薄い車体上部は、ザクの有する装備なら全て致命傷となりうる。
そして「18mの巨大な標的」のはずのザクは61式の砲撃をシールドで弾き返し、
跳躍して一気に距離を詰め、その巨体で61式の後退速度を上回る突進を行ってきた。
それは精神的な圧迫となって戦車兵達に重くのしかかり、
欧州撤退戦を始めとする緒戦で連邦陸軍が壊走した一因となった。
しかし、ザクに対抗しうる兵器は61式を置いて他になく、
前線の戦車兵達は立体機動を駆使して戦場を蹂躙する巨人に対し、絶望的な平面機動格闘戦を挑む事となる。
………一年戦争のターニングポイント、オデッサ作戦。
参加した61式戦車の数は5000とも6000とも言われているが、その損耗率は80%オーバーを記録した。
このデータからも、61式が対MS戦を生き残るのが如何に難しいかが見て取れる。
戦車兵にとって、MSはまさに死神だったのだ。
見る影もなく磨り減った連邦陸軍機甲部隊だが、それでも彼らは61式を必要としていた。
高い汎用性を誇るMSとは言え、不向きな任務は多い。
特に、歩兵部隊の直接支援や平地での砲撃戦がそれに当たる。
低速での平面機動時に「歩く」という特性を持つMSでは歩兵を踏み潰しかねない危険があり、
市街地戦の際に歩兵部隊の盾となる事が難しかった。
建物内に潜む敵兵を相手にするにはAPCでは火力・装甲共に不安が残る。
建物ごと敵兵を吹き飛ばせる火力と、歩兵の盾となりえる重装甲。
皮肉にも、MSによって否定された火力と装甲が再び求められる事となったのだ。
そして、平地での砲撃戦。
緒戦の衝撃から立ち直った連邦陸軍の戦車兵達は、巨人を狩るため「地の利」と「数の優位」を徹底的に利用した。
遮蔽物が少なく充分な距離を得られる平地で、MS1機に対し1個小隊4両以上で対処する事。
そうしてMSの優位性を潰し、確実に撃破してゆく。
ザクは強力だが、広大な戦線をカバーするには数が少なすぎた。
さながら、クジラを狩るシャチの群れのように。
連邦陸軍の戦車兵達は、巨人を倒す術を編み出していった。
………そして、失われた機甲戦力を補うため、61式戦車5型の改修が開始される事となる。
まずは一年戦争末期。
各地で鹵獲されたHT-01B「マゼラ・アタック」やYMS-16M「ザメル」、
北米戦線にて残骸が回収されたYMT-05「ヒルドルブ」等のジオン軍の兵器群と、
RX-75「ガンタンク」、RTX-440「陸戦強襲型ガンタンク」等の開発技術と運用データ、
さらにはMSの管制システム等をフィードバックし、1人操縦となった6型が開発された。
この時点ではまだ「1人乗りになった61式5型」であり、他に目立った改修は加えられていない。
せいぜいが操縦席を排し、管制システムを更新、エンジン出力を強化した程度だった。
主戦場は地球から宇宙へと移ったため、終戦まではこれで充分とされたためである。
しかし、地上戦は未だに継続しており、前線からは改善要望が山のように届いていた。
そしてRMV-1「ガンタンクⅡ」(後の75式戦車Ⅱ型)の試験配備に伴い、61式戦車7型の開発が行われる。
車体後部の兵員室を排し、弾薬架を増設。
砲の懸架装置と自動装填装置に大規模な改修を加え、最大仰角の大幅な引き上げが行われた。
これにより継戦能力の向上と、近距離での対MS戦時における対処を可能とした。
場合によっては姿勢制御や地形地物を駆使して対空射撃を行い、実際に航空目標を撃墜した事例も多数報告されている。
最新鋭の火器管制システムとベテラン戦車兵の組み合わせが成し得る神業、
そして7型自体が持つポテンシャルを雄弁に物語っている。
更にその発展型として、グリプス戦役直前に8型がロールアウト。
これにはかつてミノフスキー粒子によって無力化された衛星とのデータリンク、
その近代化版である車両間データリンクシステムが搭載されている。
随行するM353A4「ブラッドハウンド」との近距離通信でデータのやり取りを行い、
音響、振動、光学等の各センサーから得られた観測情報を元に射撃する事で、
1個班2両以上の集中射において驚異的な命中率を発揮する事ができる。
無論、ブラッドハウンドの支援を受けられない場合でも、小隊各車が得たデータを元にして射撃する事も可能だった。
8型の配備が開始された頃には既にRMV-1「ガンタンクⅡ」が、75式戦車Ⅱ型として正式に機甲部隊へ配備されており、
61式8型と75式Ⅱ型の混成戦車部隊はジオンの残党狩りで高い戦果を挙げた。
また、車体の改良に併せて搭載する砲弾の改良も随時行われている。
対MS徹甲弾(AMSAP : Anti Mobile Suit Armour Piercing)
多目的対MS榴弾(HEAMS-MP : High Explosive Anti Mobile Suit - Multi Purpose)
対空用榴散弾(Type-3)
焼夷榴弾(Type-77)
閃光発音弾(Flash Bang)
特に対MS戦に対応すべく高威力化が図られたAMSAPやHEAMS-MPは、
通常の装甲目標等に対しては必殺と言っても過言ではない攻撃力を持っており、
マゼラ・アタックやマゼラ・アイン等に対し、61式は正面から戦えばまず確実に勝利できた。
(………ただし、マゼラ・アタックは砲塔が分離飛行するという常識外の機構を内蔵しており、
「分離する前に砲塔部を潰す」というセオリーが確立されるまでは、トップアタックで撃破される61式も少なくなかった。)
多彩な弾薬は音声認識又は手動入力によって指定、自動装填装置によって選別・装填される。
連装砲という特性も相まって戦車砲としては驚異的な速射が可能だった。
しかし一方で、乗員が1人になった事による弊害も少なくない。
野整備及び野営時の警戒等を行う際の人手不足、乗員が負傷した際の生存率の低下等が挙げられる。
これをカバーするため、機甲大隊には常に歩兵連隊と、後方支援連隊の戦車直接支援中隊がセットとなって作戦行動を行った。
こうして61式戦車8型は、汎用性においてはMSに及ぶべくもないが、
それでも有用な対MS兵器として戦場で戦い続ける事となる………。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
………ガノタの先輩陸曹曰わく、
「ミノフスキー粒子散布下でさえなければ、ザク如き61式なら遠距離から一方的にボコれる。」
………との事です。まさに「ぼくのかんがえたさいきょうのせんしゃ」。
IGLOO2では口径が155mmとなっていますが、Gジェネでは150mmなのでGジェネ準拠で書いています。
たぶんGジェネの方が誤記。
「1人乗りの戦車」というのは、現実にはかなり無理がある存在です。
操縦、戦闘はともかく、その他が大変。
基本的な整備は全て乗員がやるし、野営時の警戒も乗員が交代でやります。
74式から90式に代わって乗員が4人から3人になっただけで、その負担は相当増えたそうで。
実際、自分も乗員4人で結構ヒィヒィやってます。戦車掩体構築とかマジ勘弁。
小説版のコロ落ちやIGLOO2の2話で整備班の描写が少しありますが、
連邦陸軍は乗員と整備兵をしっかり区別して組織していると思われます。
きっと空軍の戦闘機パイロットと整備兵の関係に近いのでしょうね。いいなぁ。
対人型兵器を想定した戦車と最初に出会ったのは、
初代PSの「アーマード・コア プロジェクトファンタズマ」に登場するセントーアでした。
対AC戦闘を想定した重戦車。攻略本の設定資料にえらくときめいたものです。
セントーアはトップアタック対策として、砲塔上部に20mm連装機関砲を装備しています。
まぁAC相手にゃ気休めですが、今思えば対空射撃も可能な優秀な戦車でした。
ゲーム中の61式にも、せめて機銃くらいあればなぁ………。
弾薬については教育隊にいた頃から妄想していました。
名前はこじつけ略語と元ネタありのインスパイア品。
略語はそれぞれ「あむさっぷ」「ひーむす・えむぴー」と脳内ルビ。
Type-3はIGLOOのヒルドルブが使用していた弾種から。いわゆる3式弾。
Type-77は米軍のナパーム弾の後継兵器、Mark77から。
Flash Bangはそのままですね。IGLOO2にも登場。
現行の105mmAPFSDSは、初期の120mmAPFSDSに匹敵する威力があるとの事で、
ならば宇宙世紀の150mmは恐ろしく高性能なのだろうなと思います。
また、現代のHEAT-MPはレーザー近接信管でヘリも撃墜可能らしいです。
であればきっと我らが61式なら、ゲタ履きのMSを撃墜する程度、雑作もないはず………!
ま、防御面で戦車がMSに勝る事はまず不可能ですが、火力だけならあるいは………。
欧州撤退戦というキーワードはF91編でも出しましたが、現在話を書いています。
休みの合間にIGLOO2を見直さんとな………。
いつも応援ありがとうございます。
矛と盾の関係はいつも矛が有利ですが、メガ粒子砲なんてシロモノがある時点でガンダム世界は火力過剰ですよね。
61式の機銃はパブリクの補助装備と一緒でゲーム的に欲しかった武器ですw
MS相手にゃ豆鉄砲もいいとこですね。つか与ダメ数百の装備を欲しがるプレイヤーって…。
応援イラスト拝見しました。ありがとうございます。
やっぱセイバーフィッシュは青塗装ですよね。エンブレム作った時は混ぜたけど。
ワイバーンやコア・イージーも同じ塗装ですが、連邦オフィシャルな塗装パターンなんでしょうか。
現代の国連軍の白塗装や水色ヘルメット的な。
Posted by 猫屋誠一郎 : 06/Jul/2011 23:44
更新お疲れ様です!
61式戦車は、ガンタンクを作るためにほぼ全てと言っていいくらいのプレーヤーが使うユニットだと思いますが、
思ったより強いんですよねw Gジェネのように相手の射程外から攻撃を命中させ、相手の近接を華麗に回避。
なんてことができれば、ほんと先輩さんの言うとおりだったんでしょうけれどね。
ザクから見た戦車の柔らかさは、アーマードコアの戦車くらいなのかもしれませんね。
あれをさらにすばしっこく動かしたらそれっぽくなるのかもw 油断してるとゴリゴリAP削られるのも似てるのかもw
機銃は欲しいですよねw 使わなくても欲しいw
ゲーム的にはあった場合、AIだとMSの格闘に反撃しまくって生存率が落ちちゃったりしそうですがw
欧州撤退戦も楽しみにしてます! それでは!
Posted by ウルカナス : 12/Jul/2011 20:37
いつもありがとうございます。
Gジェネの61式とセイバーフィッシュが予想以上に優秀なので、攻略では大いに助かっています。
もう少し性能が低ければ、攻略はもっと難航したでしょうね。
開始当初はまさか、61式がCV軍のMS相手にあそこまで一方的に戦えるとは思ってもいませんでしたw
基本的に戦車の正面装甲は、自分の砲から撃った砲弾は耐えるようにできている…と思っています。
なので、61式もザクマシンガンは正面から受ければ充分耐えれると思うんですが、
やはりトップアタックとなれば難しいのでしょうね。
機銃はゲーム中でセイバーフィッシュやホバトラを動かしていると、意外に使う場面が多いです。
ミリ残りのトドメを刺したり、死角から撃ってテンション下げたり。
あれば便利なんですが、確かにCOMには扱いづらい物かもしれませんw
次回はやはり盆前ぐらいになりそうです。
気長にお待ちいただければ幸いです。
Posted by 猫屋誠一郎 : 16/Jul/2011 12:56
どうも、初めまして、いつも動画を見指さしていただいています。
元陸自のアマギといいます。
61の装甲で120ミリザクマシンガンが防げても、衝撃で中の乗員がやばいのではないでしょうか?
陸自時代に対戦の曹長に聞いた話だと、貫通できなくてもぶち当てれば、衝撃で戦闘不能になるらしいです。
実際90の試験でもゼロ距離数発に耐えきった車両の中のんんぎょうは・・・な姿だったらしいので。
あとはケプラーで内部を覆わないと破片でやばいってんもあるらしいですし。
あと、リジーナの回を対戦の先輩3曹に見せたときは対戦車戦闘はこんな感じと、よくできてるって感想を言ってました。
長文を長々、失礼いたしました。
Posted by アマギ : 07/Aug/2011 00:43
初めまして、アマギさん。
90式の耐弾実験の話はよく聞きますね。
戦車は耐えたけど内部の豚が穴という穴から血ィ噴出して死んでたとか何とか。
乗ってる身としてはぞっとしない話ですね。怖ぇえー。
演習とかでATMやRPG、戦車砲で死んだ時に自分が実際どうなったか、なんてあまり想像したくはありません。
宇宙世紀の耐弾・耐衝撃技術がどこまで進歩してるかは詳細不明です。
ただ、劇中でMSパイロット達が大口径の実体弾をバカスカ被弾しても結構平気そうにしているのを見るに、
少なくともMSのコックピットに関しては、ノーマルスーツやリニアシート等の技術で
かなりの衝撃からもパイロットを保護できてるようです。
それらの技術が通常兵器にフィードバックできるかどうかは怪しいですが、
少なくとも現代の第3世代MBT(90式、エイブラムス等)とは比較にならないレベルで乗員が保護されてる、と思っています。
まぁ、そもそももって「通常兵器でMS・MAに勝つ」というデタラメな話を描くにあたって、
嘘でもいいからそれっぽく味付けしてみよう、というコンセプトなので、生暖かい目で見ていただければ幸いです。
IGLOO2の泥臭い戦闘…特に1、2話は非常に参考になりますね。
MSという兵器が現代に存在せず、自分で見た事がない以上、
実際に戦闘しているシーンを元に想像するのが一番手っ取り早いですから。
コメントありがとうございます。今後ともどうか応援よろしくお願いします。
Posted by 猫屋誠一郎 : 07/Aug/2011 23:22
話題が古いけど、イフィッシュ落下に関して最後の分裂は内部に水爆を仕掛けた連邦兵の活躍によるものという、中々面白い考え方を書いた漫画、機動戦士ガンダム宇宙のイシュタムとかかなりいい作品ですよー。
個人的には連邦の本気が見られるいい作品です。
Posted by kataparuto : 31/Aug/2011 02:04
初めまして、kataparutoさん。
宇宙のイシュタム、早速読んでみました。絵で食わず嫌いしてたのが勿体無いと思えます。
漫画版08の方はどうも好きになれなかったのですが、また印象が変わりました。
そうそう、こういう連邦兵描いた作品が読みたかったんですよ。熱いなーコイツら。
良い作品を教えてくれてありがとうございます。
Posted by 猫屋誠一郎 : 04/Sep/2011 14:10
| SU | MO | TU | WE | TH | FR | SA |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | ||||
| 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
| 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
| 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
| 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
待ってましたー。
次は61式ですか、腕が鳴りますね。ガンダム世界の武装は基本高火力なのでどんな防御力があろうと、ポンポン吹っ飛ぶと思いますね。でも61式の13.2ミリ機関砲M60じゃ流石に厳しいっすよ。
さて、実は最近タブレット買って静画ですが応援イラスト投稿始めました!といってもまだ使い始めて3週間、少しずつ鍛錬しながら応援しようかと思います。
Posted by アッキー : 06/Jul/2011 00:48