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   <title>CROSS FIRE</title>
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   <title>つぶやき始めました</title>
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   <published>2012-05-13T13:05:14Z</published>
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   <summary>86-B投稿のついでにTwitterアカとの連動始めてみました。 アカはこちら。...</summary>
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      <![CDATA[<a href="http://www.nicovideo.jp/watch/sm17809318" target="_blank">86-B</a>投稿のついでにTwitterアカとの連動始めてみました。
アカは<a href="https://twitter.com/#!/nekoya1985" target="_blank">こちら。</a>
更新情報とかはもちろん感想批評等の窓口に良いかなと思いましたもんで。
お気軽にフォローしてやってください。]]>
      
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   <title>ミデア型戦術輸送機　[C-88 Midea]</title>
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   <published>2012-03-07T13:36:03Z</published>
   <updated>2012-03-07T14:31:09Z</updated>
   
   <summary>一年戦争での地球連邦軍の勝利に大きく貢献した物として、多く挙げられる物は3つある...</summary>
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   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cross-fire.mods.jp/blog/">
      一年戦争での地球連邦軍の勝利に大きく貢献した物として、多く挙げられる物は3つある。

1つ目は、モビルスーツの量産化と実戦配備。
2つ目は、エネルギーCAP技術の実用化によって小型化されたビーム兵器。
そしてもう1つは、ミデアの存在である。

大容量ペイロードと長大な航続距離、地形を選ばず離着陸が可能なVTOL(垂直離着陸)能力。
更にコンテナユニットの換装によって様々なミッションに対応できるこの戦術輸送機は、
地球上のあらゆる戦場で連邦軍の戦線を支え続け、連邦空軍航空機史に燦然とその名を刻んだ名機である。
      <![CDATA[FF-2「フライアロー」やFF-3「セイバーフィッシュ」等の優秀な制空戦闘機を擁する連邦空軍に対して、
ジオン公国軍は機体の空戦性能とパイロットの技術の両面で大きく後れをとっていた。
劣悪な空力特性をバーニアとアポジモーターで補ったDFA-03「ドップ」は運動能力こそ良かったが、
総合的な性能では連邦空軍機と比して見劣りすると言わざるを得ない。
そして、コロニー育ちのジオン公国軍ファイターパイロット達は「空」での戦いを知らなすぎた。
ミノフスキー粒子によって誘導兵器とレーダーが封じられ、有視界戦闘のドッグファイトとなっても、
連邦空軍の誇るフィッシュライダーとアローシューター達は一歩も譲らず、互角以上の空戦を繰り広げた。
そして、ミデアのパイロット達もまた激戦の空で過酷な輸送任務をくぐり抜けてゆく事となる。

ジオン公国軍の地球降下作戦によって全地球規模の戦線が形成された一年戦争中期。
ミデアによる兵員・物資の輸送は連邦軍にとって死活問題となる生命線だった。
当然、ジオンがこれを見過ごすはずもなく、空の補給線を巡って日夜激しい空戦が繰り広げられた。

ミデアには連装機関砲座が機体各所に配置されていたが、所詮は輸送機の自衛兵装に過ぎず、
護衛として増倉タンクを装備したフライアローや、本来は戦闘爆撃機であるFF-1「フライマンタ」が護衛に就く事が多かった。
しかし、護衛機の航続距離には限界がある。空戦を想定するなら尚更燃料に余裕はなく、
場合によってはミデアのみで敵の制空権下を飛行する事も決して珍しい事ではなかった。
護衛機の不在を狙っての敵襲に対し、輸送隊は「コンバットボックス」と呼ばれる密集編隊で対抗した。
これは旧世紀の戦略爆撃隊が多用した戦法であり、
複数の編隊を高低差を加えて緊密に配置し、互いの死角をカバーする重防御編隊である。
これに加え、輸送隊の自衛手段として連邦空軍はミデアの改良に着手。
コンテナユニットを装甲化された燃料タンクに換装し、機関砲座を増設。
そして機体自体の装甲強化も行ったガンシップ型のミデアが開発され、輸送隊の生還率は大幅に伸びた。

しかし、地球の空もまた、鉄の巨人による蹂躙を受ける事となる。
ジオン公国軍は重爆撃機であるCBA-05GA「ドダイGA」を改造し、
機体上部にMSを搭載可能なCBA-05YS「ドダイYS」を実戦配備。
後のSFS(Sub Flight System)の先駆けとなる機体を空戦に投入してきたのだ。

ドダイYS自体の防御力は貧弱であり、ガンシップ型ミデアでも充分に撃墜可能だったが、
相手がMSとなればたかが輸送機が対抗できるはずもない。
更に"攻撃空母"ACA-01「ガウ」の配備も進み、補給路を巡る空戦は激化の一途を辿っていた。
最早ガンシップ型ミデアを加えてのコンバットボックスをもってしても輸送隊を守りきる事は難しく、
連邦空軍は再びミデアの改修に着手する事となる。

護衛任務に於ける最大の問題は、連邦空軍戦闘機の航続距離だった。
これは別に、連邦空軍機の航続距離に欠点があった訳ではない。
単純に戦線が長大であり、補給路はそれ以上に長かった。それだけの事だが、致命的な問題と言えた。
各空軍基地の戦闘機隊による護衛任務の引き継ぎや空中給油機の運用は日常的に行われていたが、
それでも常時輸送隊に張り付いていられる訳ではない。
そしてミノフスキー粒子の存在が、基地と輸送隊、護衛機の連携を著しく困難なものとしていた。

………輸送隊を敵から守り抜くには、護衛機が常時張り付くしか手はない。
この難解なジレンマから連邦空軍を救ったのは、最大の難敵であるガウだった。

そもそも、航続距離で大きく劣るドップやMSを載せたドダイYSが度々輸送隊を襲撃できたのは何故か。
彼らは連邦空軍と違って空軍基地からではなく、ガウを中継基地として出撃していたのだ。
ガウの最大積載能力は、胴体部にMS3機、両翼にそれぞれ航空機4機ずつ。輸送隊を襲撃するには充分な戦力である。
この強力な「攻撃空母」に連邦空軍は目を付けたのだ。

………ミデアをベースとして、複数の護衛戦闘機を運用可能な航空母機を開発せよ。
いわば、「連邦空軍版ガウ」の開発命令が下された。

開発はハービック、ヴィックウェリントン、アナハイム・エレクトロニクスの3社協同で進められた。
ベースとなるミデアには大きな変更を加えず、コンテナユニットの改良で対処する事が決定。
これは、可及的速やかに実戦配備を行う上で必要不可欠な要素だった。
幸いにしてペイロードは充分以上に確保できる為、戦闘機は種類を選ばず搭載可能と見込まれた。
コンテナユニット前面左右に射出口を配置し、内部からは小型のカタパルトによって戦闘機を射出する。
機体の収容は後部からの通常着陸と、前部から「飲み込む」ように収容する方式が採用された。
これは、大気圏内に於けるペガサス級の艦載機運用にも採用される事となる。
その外見と特徴から「Ｗhale Shark(ジンベエザメ)」の愛称を与えられた本機の開発は極めて順調に推移。
一年戦争後期には実戦配備が開始され、護衛任務はもとより攻勢作戦時の中継基地としてや、
特殊作戦に於ける近接航空支援機の拠点等幅広い任務に投入された。
そしてこの機体の成功と、鹵獲されたガウの研究によってガルダ級大型輸送機の開発が行われる事となる。

他にコンテナユニットの換装によって特殊任務へ対応した派生型としては、
コンテナユニットに自走能力を付与し、それ自体を一種の輸送車両とした自走型がある。
これは戦闘部隊を支援する整備班や衛生班の野戦陣地、情報部隊の移動拠点等、多様な任務に用いられている。
この自走型の使い勝手の良さから、他の多くのコンテナユニットにも自走能力が付加されている。

この他にもMS及び戦闘車両の降下作戦に使用される空挺型、
そして俗に「後期型」と呼ばれる戦略輸送機タイプも存在する。

MSの戦術輸送機としてはCB-X5「ガンペリー」も配備されているが、
こちらはV作戦の副産物であり、よりMSの運用に特化した輸送機と言える。
積載量もMS2機と少数だが高速で飛行できる為、山岳部や森林地帯等の複雑な地形に於ける緊急展開で活躍した。

MSの空挺降下に関しては機体自体に装備されているランドセルや、
追加装備として開発されたエアボーンユニットによって比較的簡単に対応する事が可能だった。
戦闘車両に関しては、「パレット降下」と呼ばれる方式が多用された。
パラシュートとブースターが内蔵された降下用パレットに車両を固定し、投下。
着地後は炸薬によって固定装置を排除し、そのまま戦闘へと参加する。
極めて低コストかつ短時間で迅速な展開が可能であり、パレットの汎用性も高く様々な車両や物資を投下可能だった。
この他には、降下用パレットを小型のVTOL機に懸下して一車両毎に降下する方式も用いられている。
機動力に優れるVTOL機によってMS隊と共に降下する事も可能だった為、
特殊MS小隊の編成に組み込まれているM353A4「ブラッドハウンド」の降下に使用される事が多かった。

また、ガンシップ型と空挺型の派生機としてミサイルランチャーを装備し、
ある程度の支援戦闘能力が付与された「マディア」と呼ばれるタイプが存在する。
こちらは輸送能力を排除せず、より前線での戦闘輸送任務へ対応すべく開発されたもので、
主として特殊MS部隊の単独作戦に使用されている。

後期型はミデアのペイロードと航続距離を大幅に増加させた戦略輸送機タイプと言える。
コンテナユニットが機体と一体化しており、エンジン出力も強化されている。
STOL(短距離離着陸)機であり、機体サイズに反してかなりの機動力を有していた。
外観は最早同型機とは思えないほど様変わりしているが、「ミデア」という名称が、
連邦軍の汎用輸送機の代名詞的な扱いを受けているのがよく判る一例と言えるだろう。

このように、ミデアは連邦軍の生命線となる補給路を支えた名機であり、
一年戦争後も生産され数多の戦場を飛び続ける事となる………。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

Q：欧州撤退戦 後編-2はどうした？
A：書きたい事が多すぎて削るに削れず後編-3になりそうなジレンマ。

そんなわけで息抜き。マチルダ隊でおなじみ、ミデアでございます。
GジェネFでも初期ユニットとして誰もがお世話になる母機ですね。
どうして輸送機が戦闘中に戦闘機や戦車の補給を行えるのは何でだぜ？
という事で、例によってこじつけ裏設定を考えてみました

ガンシップ型ミデア。
近藤和久先生の「オペレーション：トロイ」より。
連邦空軍輸送隊の話が掲載されています。泥臭い一年戦争漫画の傑作です。
個人的にはジオン軍混成部隊vs連邦陸軍歩兵部隊の市街地戦「ゼロサムゲーム」が最高だと思います。
機会がありましたら是非ご一読を。

自走式コンテナユニットとVTOL機。
原作ゲーム及び林譲治先生の小説版「コロニーの落ちた地で…」より。
小説版に自走式コンテナユニットを使用する輸送隊「ブラックウィドウ」と情報部が登場します。
VTOL機は原作ゲームより。イメージ的には「HALO」シリーズのペリカン輸送機でしょうか。</br>
<iframe width="312" height="200" src="http://ext.nicovideo.jp/thumb/sm2125092" scrolling="no" style="border:solid 1px #CCC;" frameborder="0"><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/sm2125092">【ニコニコ動画】プレイ動画「機動戦士ガンダム外伝　コロニーの落ちた地で…」　Part.1-B</a></iframe>

パレット降下に関しては実際にロシアやアメリカが空挺戦車なんて代物を開発しています。
参考URL：<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/空挺戦車" target="_blank">ウィキペディア「空挺戦車」</a>

MSの空挺装備は「第08MS小隊」のOP等でもおなじみですね。
何故RX-78(G)のプラキットに付属してくれなかったんだ。

マディア。
GジェネSPIRITSの初期母艦ユニット…らしいです。
自分が魂未プレイなためWikiや攻略動画等からの情報です。
見た目は白いミデアかな。いかんせん情報が少ないです。

後期型。
これは0080と0083、高山瑞穂先生の漫画版「機動戦士ガンダム外伝」等に登場しています。
THE ヤラレメカ。どうもコイツの型番がC-88らしいです。
最大積載量は200tクラスだとか。あの世界最大の輸送機An-225「ムリーヤ」と同級です。
それを量産する連邦空軍はマジもんの化け物ですね。
「汎用輸送機の代名詞的～」云々に関しては、皆川ゆか先生の小説版「機動戦士ガンダム外伝」の注釈からです。

航空母機型。
スペシャルサンクス：アッキィー氏</br>
<script src="http://source.pixiv.net/source/embed.js" data-id="21251819_3598d19874ba7495d03d1cbc39bae365" data-size="small" data-border="on" charset="utf-8"></script><noscript><p><a href="http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&amp;illust_id=21251819" target="_blank">C-88＋CV　ミデア空中母艦型　</a> by <a href="http://www.pixiv.net/member.php?id=3374012" target="_blank">アッキィー ☭ 閲覧中</a> on <a href="http://www.pixiv.net/" target="_blank">pixiv</a></p></noscript></br>
いつも支援絵、SS等ありがとうございます。大いにインスピレーションを刺激されております。
「飲み込むような～」云々に関しては、山口宏先生の小説版「0083」上巻のコア・ファイターⅡ収容シーンより。
冒頭部の「一年戦争に於いて～」に関しても同書より拝借させて頂きました。
航空母機はガウやガルダに限らず、「雪風」のバンシーⅣや各「ACE COMBAT」シリーズのボス等、
SF作品では定番のユニットですね。実用性？それって食えますか？

ハービック、ヴィックウェリントン、アナハイムの3社協同開発に関しては完全な創作です。
ミデアの開発元はおそらくVW社かハービック社のどちらかですが、

・ペガサス級(AE社製)と同種の離着陸方式を採用。
・後のMS用コンテナユニット等にはほぼ確実にAE社も関与している。

…という事で、カタパルト等にAE社の技術が使われていてもおかしくないと判断しました。

こんな所でしょうか。

「戦闘中にヘリ(ないしはVTOL機)から補給を受ける」という点では、
旧箱の傑作戦争ゲー「鉄騎」及び箱○/PS3期待の新作「ACV」のイメージですね。
両者ともミッション中に安全地帯で武器弾薬装甲補修と燃料補給(前者)、装備の変更(後者)が可能です。
まぁゲームですのでディテールは端折られてますが。

それでは、次こそ欧州撤退戦の完結と動画投稿を目指して。]]>
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   <title>欧州撤退戦 後編-1</title>
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   <published>2011-10-13T11:07:36Z</published>
   <updated>2011-11-05T07:46:42Z</updated>
   
   <summary>ドーバー海峡。 ユーラシアとブリテン諸島を隔てるイギリス海峡の再狭部。北海と大西...</summary>
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      ドーバー海峡。

ユーラシアとブリテン諸島を隔てるイギリス海峡の再狭部。北海と大西洋の境界。
ここを渡れば北アイルランドには連邦海軍の一大拠点、ベルファスト基地があり、
各島には空軍基地や陸軍の駐屯地が点在している。
コロニー落としの被害を比較的軽微に抑え、ロンドンやバーミンガムといった大都市も健在なこの地方は、
今やユーラシア大陸から放逐されつつある連邦軍にとって、来るべき日………欧州奪還のその日まで、
少しでも多くの戦力を逃がし、温存し、回復させるための重要な拠点だった。

宇宙世紀0079年7月28日。

ドーバー海峡のユーラシア側の要衝、カレーの港には、
ブリテン諸島へと落ち延びてゆく連邦陸軍部隊でごった返していた。
上空はミデア型輸送機とその護衛機がひっきりなしに飛び交い、
それに加えてCAP(戦闘上空警戒)任務中のTINコッドやフライマンタの編隊まで飛んでいる。
海上は海上で輸送艦や揚陸艦が所狭しと埠頭に並び、
海峡を完全封鎖する勢いでありとあらゆる種類の戦闘艦艇が遊弋している。

「人員を最優先だ！負傷者を見捨てるなよ！」
「捨てちまえ、そんなスクラップ！ガラクタ積む余裕は無ぇんだぞ！」
≪輸送艦オリヴェイラ、出航を許可する。ボン・ボヤージュ！≫

港独特の活気がある海軍兵士に比べ、陸軍の兵士達の表情は重い。
歩ける者は粛々とタラップを登り、負傷者や物資を乗せる手伝いを行う。
手の空いた兵士達は甲板や通路に鈴なりになって、船上からカレーの街並みを………
これから去りゆく、欧州の大地を眺めていた。

ふと、誰かの歌声が聞こえた。

　何故に人は彷徨う　soldier
　抗い続けることで　確かめる　humanity………

旧世紀のアジアの歌手の、古い歌だった。
開戦直前にリメイクされたリバイバル盤がリリースされ、今もヒットチャートに載っている人気曲である。

　小さな傷痕なんて　この空に　手放して
　カラッポになる勇気一つ　抱えたら　飛べるわ………

隣の兵士が続けて歌い、さらにその隣の兵士も続けて歌う。
歌声は兵士から兵士へ、部署から部署へ、そして船から船へと伝播し、港全体へと広がってゆく。

　蒼い闇を抜け　君を見つけた………

兵士達はユーラシアの大地へ、その彼方にある自分達の故郷へ向けて歌い続ける。
それは、決意の合唱だった。

　果て無き大地　巻き上がる砂
　燃え尽きる　その瞬間に　生まれ出づるよ
　何に縛られ　何を壊して
　宛てもなく　その胸を　切り裂いてゆく………

欧州よ、我が故郷よ。
今はしばしの別れだ。
我々は必ずここへ帰ってくる。
勝利を掴み、故郷を取り戻すその日まで。
我々は決して諦めない。

　愛し切れたら　強くなれるはずさ………

兵士達は涙を流しながらも目を閉じず、欧州の景色を目に焼き付け、歌い続ける。
歌声は絶える事無く、カレーの港に響いていた。
      「………良い曲じゃないさ。選曲した奴は判ってるねぇ。そう思わないかい？」
歌声を聞きながら、ソニア・ヘイン曹長が傍らに問いかける。
話を振られたノーラン・ミリガン軍曹は肩をすくめ、あっさりと切り捨てた。
「生憎、アタシは生粋のハードロッカーなもので。」
「………無粋だねぇ。」
嘆息するソニア。
2人は今、カレー防衛の指揮所となっている高級ホテルを訪れていた。
無論、彼女らが所属する増強戦車小隊の指揮官、ニキ・テイラー少尉のお供としてだが、
その本人は会議室代わりの大部屋に入ったきり、出てこない。
ニキが入室してから30分がすぎようとしていた。
「今度はどんな説教されてるんだか………。」
心配げに大部屋のドアを見やるノーラン。

もう4ヶ月も前。
「作られた英雄」となったあの日を境に、ニキの………いや。
戦車小隊ヴィスナ30とソニアら対MS特技兵小隊エーリカ34の運命は大きく変わった。

凄惨を極める後衛戦闘には参加する事無くカレーへ向けて後退を続ける傍ら、
偵察隊が発見した小規模な敵の斥候や、後衛を突破「させられた」戦力減耗した敵前衛を、
61式5型4両と車両に乗車した対MS特技兵小隊で強襲し、圧倒撃破する。
そしてそれを、広報が「鉄騎の戦乙女」の戦果として主にロンドンからのプロパガンダ放送で流すのだ。
無論、敵戦力を誇張し、シチュエーションを劇的なもの………
例えば、孤立した友軍の救援等で味付けするのは忘れない。

欧州方面軍の機甲戦力は、数日前に行われた反転攻勢の失敗によって見る影も無く磨り減っており、
お膳立てされた戦場とは言え複数回の対MS戦を経験しているベテラン戦車小隊と対MS特技兵を
遊ばせておく余裕などどこにもないはずなのだが………
欧州方面軍上層部は、未だニキに「英雄」である事を求めていた。

ノーランは、血で血を洗う後衛戦闘を続けている部隊がニキを何と呼んでいるか知っている。
いや、ニキ自身も知った上で、その渾名を甘受している節がある。

作られた英雄………「鉄騎の戦乙女」ニキ・テイラー少尉。
後衛部隊は、彼女をこう呼んでいる。

あの女は、友軍兵士の血を啜る「吸血女(BLOOD SUCKER)」だと。

その上で、ノーランはニキの苦悩も理解していた。
彼女は毎日、一兵士として、一個の戦闘単位として後衛戦闘に参加する事を上層部に希望していたし、
たとえ「用意された戦場」だったとしても最善の戦術を選択し、
常に部下と配属部隊を生き残らせようと努力していた。
事実、テイラー小隊の損耗率は複数回の対MS戦を経験していながら恐ろしく低い。
部隊としての練度も欧州方面軍屈指だろう。
なのに、戦闘への積極参加が許可されない。
そのジレンマが、ニキは勿論小隊のメンバー全員を苦しめていた。

ノーランの視線の先にある扉は、未だ開く気配がない。
指揮所の喧騒と、港に響く歌声。
その両者とも無縁のように、沈黙を保っている。

　　　　　　　　　　＊

「………抗命は反乱とみなされ、銃殺となっても文句は言えん。理解しているのかね？テイラー少尉。」
「ワタシは意見具申をしたまでです。」
表情を消したコレマッタ少佐に対し、ニキもまた無表情に答える。
欧州方面広域の状況説明から始まり、カレー防衛の計画、そしてテイラー小隊の行動に説明が移ってから、
鍔迫り合いのようなやり取りが始まった。

上層部はテイラー小隊………いや、ニキにベルファストへの退避を求めているが、
彼女はカレー守備隊の配置や敵の侵攻予測の不備を1つ1つ取り上げ、
巧みに話題を逸らしながら自身の小隊をカレー防衛に参加させるよう具申していた。

「却下だ、少尉。たかが1個小隊が加わったところで戦況は変わらない。それが判らないわけじゃないだろう？」
「現状の防御計画では撤退完了まで港の維持は不可能だと申し上げているのです。
　それとも、多くの兵をドーバー海峡へ沈めた将校として、後世に名を残そうとでも？」
「………。」
その言葉に、コレマッタが思わず目元をひくつかせる。
「旧世紀の小説の言葉ですが………英雄と鯨には、共通点があるそうです。」
初めて見せた苛立ちの表情に対し、ニキは微笑して見せた。
「生きている間も然る事ながら、死んでからこそ価値がある。」
そう言って彼女は、持っていたファイルをコレマッタへと差し出した。

　　　　　　　　　　＊

唐突に開いた大部屋の扉から、ニキとコレマッタが出てきた。
慌てて姿勢を正すソニアとノーランをよそに、2人は向かい合って敬礼。
「では。」
「………。」
相変わらず両者とも感情が読めないが、気のせいかニキの動きに硬さが無い。

………こりゃ今回はウチの隊長が一本取ったかな。

ノーランはそう予想を立て、ソニアと視線を合わせてニヤリと笑った。
「お待たせしました、ヘイン曹長。ミリガン軍曹。」
コレマッタと別れ、2人を促し指揮所の出口へと向かう。
ニキの左隣へ並び、ノーランは早速尋ねた。
「あの陰険野郎に何か言ってやったんですか？」
「上官侮辱は聞こえない所でやるように。
　………ですが、そうですね。ようやく聞く耳を持ってくれた、と言った所でしょうか。」
その一言に、ノーランとソニアは顔を見合わせた。
「詳しくは皆を集めてからです。忙しくなりますよ。」
 
　　　　　　　　　　＊

「後衛部隊が突破され、今夕にも敵先鋒がカレー市街へ突入………？」
隊員の1人がニキの台詞を呆然と繰り返す。
港湾部の外れに設けられたニキ達ヴィスナ30の宿営地………その本部幕舎に、
ヴィスナ30とエーリカ34に所属する士官と下士官全員が集められている。
大判のカレー付近の広域地図にはマーカーで無数の部隊記号が書き込まれ、
連邦軍が如何に厳しい状況にあるかを示していた。
「空軍の対地攻撃機が爆撃を繰り返していますが、敵の速度は落ちていません。
　このままでは友軍の撤退完了を待たずして、カレーの港にMSが侵入してくるでしょう。」
その言葉に、隊員達が思わず息をのんだ。
港は依然として多くの兵士が溢れており、非武装の輸送船が無数に接岸している。

………そこに、あの鉄の巨人が突入してきたら？

誰かが唾を飲み込む音が、やけに大きく聞こえた。
隊員達を見渡して、ニキは普段の調子で続ける。
「カレー市街の防衛線増強は急ピッチで行われていますが………我々も参加する事となりました。」
「！」
隊員の1人が、勢い込んで質問する。
「で、では！ベルファストまで退避という話は………！」
「申し訳ありませんが、キャンセルです。我々は守備隊隷下に配属。カレー防衛の任に就きます。」
隊員達から喝采が上がる。

防衛戦への参加！

待ち望んだ命令が、ようやく下されたのだ。
「HQは駆逐艦アテナイエへと移動。事後の指揮は、アテナイエより発令されます。」
そこで一呼吸。そして、指揮棒を使って地図上を指し示してゆく。
「敵先鋒はMS12機を主力とする機械化混成大隊。
　強力な敵ですが、後に控える本隊を考えれば前菜でしかありません。
　まずはこれを徹底的に叩き、敵の出鼻を挫きます。」
ニキの状況説明に黙って耳を傾ける隊員達。
この数ヶ月の戦闘で、ニキは部下の信頼を勝ち取っていた。
「現在、カレー市街全域にセンサーと中継器の設置が行われており、
　あと数時間ほどで郊外5km圏内まではカバーされる見込みです。
　これにより、限定的ですがデータリンクを使用しての射撃が可能となります。」
これは朗報だった。
61式戦車5型の強みは、衛星とのデータリンクによって行われる常識外の超長距離精密射撃だった。
しかし、それがミノフスキー粒子によって脆くも無効化された今、
データリンクシステムはデッドウェイトでしかない。
衛星の使用が不可能だとしても、センサーからの観測情報と各車両間のやり取りが可能なら、
射撃精度は段違いに上がる。
「我々の担当区域は南東最外縁………敵の真正面です。
　支援として陸軍航空隊から戦闘ホバークラフト小隊が配置されています。
　………リュッケ少尉、ランガー軍曹。」
ニキの紹介を受け、フライトジャケットを着た2人のパイロットが進み出た。
「クラウス・リュッケ少尉以下、ホルニッセ隊だ。
　かの&quot;鉄騎の戦乙女&quot;の指揮下で戦えるとは、望外だ。よろしく頼む。」
「ホルニッセ1、操縦手のハルト・ランガー軍曹です。」
2人が簡潔に挨拶を済ませる。
自分の「英雄」としての呼び名が出ても、ニキは特に反応を示さなかった。
「………遠距離支援は海軍の巡洋艦と駆逐艦から艦砲射撃が行われます。
　また、港湾区画に砲兵連隊の自走砲と44MRの重迫撃砲が展開中。
　海軍と自走砲は市街に侵入されるまで、随時射撃を行うとの事です。
　空軍の近接航空支援も適時。空軍の前線航空統制官が各区域に配置されます。」
友軍の布陣はまずまずと言えた。というより、現状これ以上は望めない。
上空は空軍機が固めているし、海は海軍艦艇が所狭しと浮かんでいる。
陸軍は、正面からの敵に集中すればいいのだ。
「………MSに対しては、脚部を最優先で狙うように。
　あの巨人は、下半身の防御ができません。足を折れば、後は何とでも片付けられます。」
ニキの言葉に、全員が頷く。
それを確認して、彼女は更に詳細な指示に移った。

戦車は2両ずつ2班に分派し、ファンファンと特技兵小隊はエリア内に分散配置。
戦車隊の遠距離射撃で敵を削ったら、後は市街に引きずり込んでの殴り合いになる。
住民の避難は完了しており、周囲への被害を考慮する必要は無い。
守備隊には、持てる火力を無制限で使用して良しという指示が出されていた。

全ての指示を出し終え、ニキはもう一度全員の顔を見る。
静かに次の言葉を待っている者。不敵に笑っている者。不安げに視線を泳がせている者。
様々な表情、様々な目と肌の色。一人として同じ者は居ない。全員がニキにとって大切な部下達だった。

同時に、彼女は考える。
彼ら全員の顔を見れるのは、おそらく今日この時が最後だ。
生きて欧州を脱出できる者は、この中に半数も居まい。
それは、自分やノーラン、ソニアとて例外ではないのだ。

それでも、郷愁の表情はおくびにも出さずにニキは姿勢を正した。
「………タイムリミットは明朝。夜明けまでここを守り切れば、友軍の撤退は成功します。
　各員、最適の健闘を。」
全員が敬礼。
ヴィスナ30とエーリカ34、ホルニッセの隊員達は、一斉に動き出した。

　　　　　　　　　　＊

≪………スプライトよりアテナイエ。目標、間もなくFライン。≫
逢魔が時の空を、連邦空軍のディッシュが飛ぶ。
旧世紀のAWACSとJ-STARS、その両方の性能を兼ね備える高性能なEWACSであり、
ミノフスキー粒子によって多くの電子戦兵装が無力化されてなお優秀な性能を誇るディッシュは、
連邦軍の&quot;目&quot;として戦線を支える要だった。
高空を悠然と飛ぶその遥か眼下を、カレー攻略を期するジオン軍の先鋒が前進している。
ザクはモノアイで、兵士達は両目で、周囲を油断無く………或いは、不安げに警戒していた。

彼らは気付いているはずだ。
自分達が今、砲撃によってできた弾着痕の最中を進んでいる事に。

≪スプライトよりアテナイエ。目標、Fラインに到達。≫
≪了解。こちらアテナイエ、放送する。目標、Fラインに到達。カトレア81、火力要求。効力射実施！効力射実施！≫
≪カトレア81了解。大隊効力射、実施する！≫
HQからの火力要求を受けて、港湾区画に展開する自走砲が砲弾を装填する。
同時に、湾内の巡洋艦もミサイル発射セルを開放。
数秒後、後方より腹に響く砲声が連続して轟いた。
照準を定める標定射は終わっているので、修正を行う必要は無い。最初から効力射である。
榴弾とミサイルの嵐がニキ達の頭上を通過し、ジオン軍へと降り注ぐ。
絶え間ない爆音に興奮した兵士が、中指を突き立てて叫んだ。
「消し飛べ、ジオンの一つ目小僧！地球に来た事を後悔させてやる！！」
兵士達は塹壕や建物内、そして車両の中に潜み、敵が来るのを待ち構える。

この程度で、あの巨人が倒れるわけがない。
それだけは間違い無かった。

「………凄い光景ですね。敵が耕されてる。」
操縦席のモニターから、望遠映像を見てノーランが呆然と呟く。
ウィーゼル、キュイやマゼラ・アタックが爆炎に飲み込まれ、歩兵が木の葉のように吹き飛ばされる。
しかし、そんな鉄の雨の最中においても、巨人は倒れていなかった。
「………ですが、MSは撃破できていません。」
ニキの言葉通り、肩のシールドで防御しつつ業火の中をザクは突き進んでいる。
≪最終弾着まで5、4、弾着………今！≫
≪スプライトよりアテナイエ。MSなおも健在………跳躍して一気に抜けるつもりだ！≫
「31、30。弾種徹甲、小隊集中、指命！」
APFSDS(装弾筒付き翼安定徹甲弾)を装填、小隊で単一目標を集中して射撃、タイミングはこちらが指示。
簡潔にまとめられた号令に従い、ヴィスナ30の4両の61式が射撃準備を終える。
「データリンク開始、照準は31に同じ！」
≪32了。≫
≪33了！≫
≪34了！≫
小隊各車の返答と同時に、燃え盛る弾着地点からMSが一斉に跳躍した。
≪MS、跳躍した。スプライトよりカスケード、交戦を許可する。≫
≪ウィルコ。カスケード1、エンゲージ。各機続け！≫
一気にカレー市街への距離を詰めようとするMSに、フライマンタの編隊が狙いを定めた。
跳躍からの降下中、機動が制限された無防備な背後へ回り込む。
デッド・シックス。格闘戦なら、必殺のポジションだ。
≪カスケード1、FOX2！≫
機首ランチャーから4発のミサイルが吐き出された。
数機のランドセルに命中。バーニアが咳き込むが、致命傷ではない。
背中越しに向けられたマシンガンを回避し、フライマンタは上空へ退避。
12機の巨人は跳躍を妨害され、カレー市街のかなり手前に着地した。
≪こちらアテナイエ。センサーに感あり！データリンク、正常に作動中！
　全ユニットへ。全兵装使用自由！任意に射撃して良し！！≫
敵機、センサー圏内。
中継器を通じて敵機の位置情報が瞬時に届き、気温や風速といった要素をFCSが自動補正。
ニキの両目が、着地でよろめくザクの右脚にピタリと照準を合わせた。
「撃て！」
4両全車の一斉射。同時に、別エリアに展開する友軍戦車小隊も射撃した。
無数の徹甲弾がザクへと襲い掛かる。
直撃弾が関節を喰い千切り、右脚部が膝から吹き飛んだ。
崩れ落ちる巨人。その直上から、死神が鎌を振り下ろす。
≪カスケード3、ボムズアウェイ！！≫
上空を旋回したフライマンタが急降下。
ウェポンベイより3発の小型爆弾が投下され、ザクへと叩き込まれる。

爆発。

≪………スプライトよりアテナイエ。MS3機の撃破を確認！≫
沸き上がる歓声。
「続けて射撃する！」
諫めるようにそう言って、ニキは次のターゲットを照準する。
その視界に、バズーカを構える巨人の姿が飛び込んだ。
「………注意！敵機、射撃態勢！！」
その警告とほぼ同時に、ザクが立て続けに3発を発砲。
更に他の機体が、マシンガンを乱射しながら突撃を開始した。
巨大な砲弾がカレー市街へ降り注ぎ、そこに潜む連邦兵を吹き飛ばす。
≪こちらナーゲル62！戦死2、重傷1！衛生兵を要請！≫
≪………シルヴィア23、被弾………損傷軽微、衝撃にやられた………操縦手が気絶、俺も動けない。救出を………≫
≪くそッ！関節だ、関節を狙え！≫
一気に騒がしくなった無線。連邦軍も負けじと応射する。
61式が、特技兵のリジーナが、大小の機関砲や対戦車砲が次々放たれ、
更に照準を修正した砲兵と海軍艦艇、フライマンタが激しい砲爆撃を加える。

しかし、ザクは止まらない。
致命傷となる攻撃を回避・防御しつつ、堅牢な装甲で鉄と炎の洗礼を受け止める。
そして自らもマシンガンとバズーカで猛烈な攻撃を加えてくる。

≪シルヴィア21被弾、大破炎上！小隊長戦死、24が指揮を引き継ぐ。≫
≪こちらナーゲル64、損害多数、後退する！≫
≪スプライトよりアテナイエ、敵の後続を確認。Fラインまで………およそ15分！≫
徐々に連邦軍の損害が目立ち始めたが、ザクの数は減っていない。
地上戦が開始されて半年。連邦軍が対MS戦のノウハウを得たように、
ジオンのMSパイロットもまた、地球環境下での戦いに慣れてきているのだ。
≪こちらアテナイエ、放送する。フェイズ2へ移行。繰り返す、フェイズ2へ移行。≫
フェイズ2………市街への侵入阻止を断念し、市街地戦へ移行。
その指示を受け、ニキは即座に動いた。
「30、31。斉射1回、その後すぐに移動。敵を市街に誘い込む！
　エーリカ34、ホルニッセ、こちらヴィスナ30。戦闘準備！」
≪ホルニッセ1了解。全機、エンジン始動！≫
≪エーリカ34待機中、いつでもおいでってねぇ！≫
クラウス、ソニアの頼もしい声。
再度、小隊集中射を撃ってヴィスナ30は後退を開始。

巨人の攻撃に追い立てられたかのように、連邦軍の各部隊が市内へ引き下がる。
最初の猛攻を凌いだ8機のザクは、3・3・2のグループに分散して市街へ突入。
ニキ達の狩場へと、3機のザクが侵入した。

　　　　　　　　　　＊

「そのまま後退、あと100m。」
「了解。」
アスファルトを剥ぎながらストリートを後退する61式。
ニキが指示した位置には、上層階が砲撃で破壊された立体駐車場が建っていた。
「駐車場へ進入。そこに隠れなさい。」
「了解………崩れませんよね？」
「カレーの建築業者が優秀な事を祈りましょう。」
バックで立体駐車場の1階部分へ進入。
履帯が車を回転させるターンテーブルを破壊する音が響くが、
どうやら崩壊して生き埋め、という事態は避けられたようだ。
マップを見て、現在地と近隣の友軍を確認する。
「ホルニッセ3、こちらヴィスナ30アルファ。17番の交差点にて待ち伏せする。誘引可能か？送れ。」
≪こちらホルニッセ3了解、待て。≫
「ヴィスナ32、エーリカ341傍受したか？」
≪32傍受。そちらから見て北西にある広場にて射撃態勢、待機中。≫
≪エーリカ341傍受した。分散し、射撃位置を確保する。≫
簡潔かつ必要事項のみのやりとり。
リジーナや対戦車無反動砲………日系の特技兵達は、それを「タケヤリ」と呼んでいた………
を担いだ対MS特技兵達が、2～3人の組に分かれて建物内に消えてゆく。
戦車2両と特技兵の分隊によって、交差点にキルゾーンが構築された。
≪エーリカ341、配置完了。≫
「了。」
短く答え、一呼吸。
「………ホルニッセ3、こちらヴィスナ30アルファ。準備良し。」
その報告を待っていたかのように、ホルニッセ3が応答した。
≪ホルニッセ3了解。≫

ローター音を響かせながら、ファンファンがビルとビルの合間を飛行する。
戦闘ヘリでは困難な、這うような高速低空飛行。
市街地戦では無類の強さを発揮できたが………対MS戦となれば、火力不足は否めない。
よって、ファンファンを装備する戦闘ホバークラフト隊は囮を主任務として立ち回っていた。

そして今、慣れないカレーの市街地を進むジオンのMS小隊………
タンゴ4、5、6とマークされた3機のザクの背後から、回り込んだホルニッセ3が奇襲をかける。
≪ホルニッセ3、コンタクト。釣り上げる。≫
機体上部に装備された5連装ミサイルランチャーから、2発の有線ミサイルが飛び出した。
脚部の膝関節を狙い、あわよくば擱挫させようとしたその攻撃は、
ザクがあわてて振り返り回避運動を取ったために命中せずにビルへと着弾。
すぐさま反撃すべくマシンガンを構えるザク。
しかし、既にホルニッセ3は脱兎のごとく逃走を開始していた。
≪ホルニッセ3、こちらエーリカ343………タンゴ6が食い付いた。マシンガン装備、注意せよ。
　ホルニッセ1、タンゴ4がカバーに回る模様。引き剥がせ。≫
≪ホルニッセ1了解。≫
周囲の建物内に潜む特技兵分隊からの報告。
追撃しようとホルニッセ3の後を追うザクを支援すべく、角付きバズーカ持ちの小隊長機が行動を開始した。
残る1機は退路を確保するつもりか、モノアイをせわしなく動かして周囲を警戒している。
食い付いたザク………タンゴ6は相当頭に血が上っているようで、
マシンガンを乱射しながら逃げるホルニッセ3を追い立てている。
その後方、少し遅れて追随する小隊長機………タンゴ4に、横合いから再び奇襲が敢行された。
≪ホルニッセ1、コンタクト。≫
今度は直撃………ただし、肩部のシールドへの命中弾なため、ダメージは無し。
だが、気を引くには充分だったようだ。
≪よし、食い付いた。適当に引き回す。≫
≪ホルニッセ1、こちらヴィスナ30ブラボー。21番の高架下に展開した。誘い込めるか？≫
≪………了解、誘引する。到着まで………およそ3分。≫
≪エーリカ344、傍受した。ストリート沿い、高架前の建物に分散配置。支援する。≫
≪ホルニッセ2、こちらホルニッセ4。タンゴ5を引き付ける、援護頼む。≫
………こうして、カレー攻略の先鋒たるジオンのMS小隊は、瞬く間に分散させられたのだ。

≪ヴィスナ30アルファ、ホルニッセ3。到着まであと1分！≫
「30アルファ了解。32、31。こちらが先制する。エーリカ341、ヴィスナ32に続いて射撃。」
≪32了。≫
≪エーリカ341、準備良し。≫
巨人の歩みが弱い震動となって立体駐車場に響く。
ニキは静かに照準器を覗き込み、音声入力を吹き込んだ。
「初弾、弾種対榴。次弾、徹甲。」
自動装填装置が反応し、HEATｰMP(多目的対戦車榴弾)とAPFSDSを選択。
左右の戦車砲に、2種類の砲弾が装填された。
≪ホルニッセ3、通過する！≫
眼前をファンファンが高速で通過し、交差点を曲がって退避。
それを追うように120mm砲弾が道路を耕した。
「………！」
至近弾。しかし、損害無し。生身のエーリカ341は肝を冷やした事だろう。
そしてついに、巨人が罠の中へ進入した。
ホルニッセ3が曲がった交差点前で警戒するように速度を落とし、手前のビルから曲がり角を窺うザク。
その脚部が、照準器を睨むニキの視界に大写しとなった。
「31射撃する。」
静かな声。同時に発砲。
ザクの右脚膝関節に、対戦車榴弾が突き刺さる。
爆発にバランスを崩し転倒するタンゴ6。
続いて射撃。装弾筒を弾き飛ばして、ダーツのような弾芯が撃ち出される。
劣化ウランの矢が、今度は右腕肘関節を撃ち抜いた。
≪32射撃する！≫
更に追い討ち。
倒れ込んだタンゴ6の股関節に、ヴィスナ32がAPFSDSを叩き込む。
完全に下半身を破壊され、右腕の肘から先も失ったタンゴ6。
それでもなお上体を起こそうともがく巨人へ、とどめの攻撃が行われる。
ビルの2階からリジーナのミサイルとタケヤリの無反動砲弾が飛び出し、頭部と左腕肘関節へ直撃。
主要な関節と制御系統に致命傷を受けた鉄の巨人は、ついにストリートへ倒れ伏した。
エーリカ341の隊員達から歓声が上がる。
ニキも深く息を吐いて、無線に報告した。
「………アテナイエ、こちらヴィスナ30アルファ。タンゴ6撃破。パイロットの確保を試みる。」
≪アテナイエ了解、対人火器に注意。≫
HQからの簡潔な返答。
実質的なGOサインを受けて、ニキは次なる指示を出した。
「エーリカ341、援護する。パイロットを確保せよ。
　32、重機使用、エーリカ341を援護。特にSマインに注意。」
≪32了。射撃可能位置へ移動する。≫
≪こちらエーリカ341。2名前進、支援頼む。≫
「援護位置まで前へ。」
「了解。」
低速でそろそろと立体駐車場から這い出る61式。
ニキは砲塔部ハッチから半身を乗り出し、重機関銃に初弾を装填した。
照準をザクの胸部に合わせ、外部スピーカーのスイッチを入れる。
「生きているのであれば、無駄な抵抗はやめて投降せよ。
　20秒以内に反応が無ければ、機体ごと吹き飛ばします。」
冷淡な通告。
その下で、エーリカ341の隊員2人がアサルトライフルを構えながら前進していた。
ほどなく、胸部コックピットハッチが開いて緑色のノーマルスーツ姿のパイロットが現れた。
隊員に手荒に拘束され、引きずり降ろされる。
「アテナイエ、捕虜1名確保。後送の手配を頼む。」
≪了解した。エーリカ341は現在地にて待機。ヴィスナ30アルファ、任務続行せよ。≫
「30アルファ了解、終わり。」
アテナイエへの報告を終え、捕虜に視線を移す。
ノーマルスーツのヘルメットは外され、目隠しに猿轡をされた上で両手を拘束されている。
貴重な捕虜、それもMSパイロットだ。逃がす手はない。
エーリカ341の分隊長がニキへ向けて右手親指を突き立てた。
それに敬礼で応え、ニキは車内へと引っ込んだ。
「次へ向かいましょう。今日は休めそうにありません。」
「大繁盛ですね。」
ニキ達の担当区域以外でも戦闘は始まっており、敵は次々とカレー市街へ侵入してきているが、
なんとしても夜明けまで防衛線を死守しなくてはならない。
「………予想以上に敵の数が多いようです。負担をかけますが、気を抜かないように。」
「了解、任せてください。」
ノーランの明るい声に、ニキは少し苦笑した。
この&quot;相棒&quot;は、絶望という感情を知らないかのような精神的タフネスさだ。私も少し見習わねば。
「32、31。引き続き前進する。前進用意………前へ！」
夕暮れと戦闘の炎で赤く染まるカレーの街。
テイラー小隊の長い夜は、今まさに始まろうとしていた………。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

書きたい事を全部やろうとしたら、前中後編に収まらなかったでござるの巻。

今回は色々出しましたね。

例の曲。良い歌ですよね。IGLOOシリーズの主題歌はハズレ無しです。

ディッシュ。野望シリーズではお世話になる連邦の誇る特攻偵察機。
たぶん実在すれば超高性能な空飛ぶ司令室になると思います。
AWACS＋J-STARSなんて書いたのは自分の勝手なイメージです。

ファンファン。イメージ的には高性能な戦闘ヘリ。
独立戦争記でザクから逃げ回るファンファンのムービーがありますが、
あれとセイバーフィッシュ編隊の出撃ムービーが通常兵器部隊の原点です。
何気に、ミサイルランチャーを外した機体が08小隊とかにも出ていたり。

タケヤリ。これは元ネタがあります。
M.S.ERAという「宇宙世紀の写真集」があるんですが、
それに「タケヤリ・アタック」という写真(イラスト)が出てきます。その説明文から。
まぁ、そう呼ばれもする貧弱さだったのでしょう。

市街地戦闘。がんばりました。戦闘シーンは難しいです。
自分の中で、文を書く時は擬音を使わないようにする、というルールがありまして。
その場面の音は読み手が想像した方が良いんじゃないかという持論です。異論は認める。

動画作成は順調に遅延中です。本当に申し訳ありません。
今月中………どんなに遅くとも年内には仕上げたいところ。
後編-2が早いか、動画が早いかも不明ですが、また次回。
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   <title>欧州撤退戦 中編</title>
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   <published>2011-09-12T12:43:16Z</published>
   <updated>2011-10-02T03:21:23Z</updated>
   
   <summary>夕焼けに染まるヨーロッパの大地。 遠くはドーバー海峡の要衝、カレーへと向かう道を...</summary>
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      夕焼けに染まるヨーロッパの大地。
遠くはドーバー海峡の要衝、カレーへと向かう道を、兵士達の列が続いていた。

肩を落とし、表情は沈み、足取りは重い。
モビルスーツという名の死神から、命からがら逃れた、文字通りの敗残兵。
今の彼らを表現する言葉は、それに尽きた。
「………連邦は負けるぜ。」
誰かがぼそりと呟いた。
「ああ………。」
「あんな奴らにゃ勝てねぇよ。きっとジオンには本物の宇宙人が居て、技術を与えてるんだ。」
冗談とも本気ともつかない言葉だが、彼らが受けた衝撃はそれほどに激しかった。

地球を守る。

その崇高な使命を胸に、彼らは立っていた。
しかし巨人は、彼らの刃を悉く弾き、その矜持を粉々に砕いてしまった。
「………ジオニスト共は「地球人」を皆殺しにするつもりだ。」
誰かの声。
平時であれば荒唐無稽な言葉の数々は、奇妙な現実感をもって兵士達の心を蝕んでゆく。
「南極条約がある、いくらジオンだって………」
「スペースノイドに、地上で核兵器を使うリスクが理解できるわけがねぇ。
　現に奴らは、一週間戦争じゃ核でコロニーを潰している。」
「あぁ、コロニーまで落としたんだ。きっと徹底的にやるぜ………。」
不安げなざわめきに、ついにしびれを切らした士官が怒鳴り声をあげた。
「誰だ、くだらん話をしている奴は！」
ヒステリックな叫びに首を竦め、再び無言で歩き続ける。
そんな光景が、夕闇に沈む道路で延々と続いていた。
      「………不景気な眺めですね。まるで皆、この世の終わりから逃げてるみたい。」
傍らを歩くノーラン・ミリガン軍曹が、あきれ声で呟く。
それには答えず、ニキ・テイラー少尉は戦闘指揮所への歩みを進めていた。

………エーリカ22の献身をもって後退に成功したテイラー小隊は、友軍機械化連隊所属の大隊と合流。
そこで、原隊である戦車大隊の壊滅とそれに伴う臨時編入、そして総員撤退の命令を達せられた。
「後衛戦闘を」というニキの具申は却下され、戦車隊は優先して後退せよとの指示が出された。
代わって矢面に立つのは、またしても対MS特技兵だった。
ニキ達戦車兵はMSから逃げるように………いや。
事実「戦場から逃げ出した」と表現するほか無い醜態を晒していた。

「これが今日の朝は「宇宙人の歓迎パーティだ！派手にやれぇ！！」
　………なんて息巻いてた栄光の連邦陸軍だって、何人が信じるでしょうね。」
愚痴とも冗談ともつかない口調で話すノーランに、AIのように冷たい口調でニキが答えた。
「………あの巨人が兵達に与えた精神的なショックは、それほど甚大という事です。
　急ぎましょう、ミリガン軍曹。集合時間は過ぎています。」
「………了解。」
普段から感情の読めないニキだが、今は殊更に感情を押し殺している気がする。
良くない兆候だ。どうせなら、泣くぐらいの可愛げを見せればいいのに。
年齢のそう変わらない上官に対し、ノーランは気遣わしげな視線を向けていたが、
ニキは気付かずに戦闘指揮所へ向けて早足に歩き続けた。

「遅かったじゃないか、ニキ・テイラー少尉？」
「申し訳ありません、少佐殿。隊の掌握に時間をかけすぎました。」
大仰な声。それに答えるのは、感情を削ぎ落とした声。
聞いてるだけで胃に嫌な重みがのし掛かる組み合わせだった。
ノーランは内心嘆息したが、辛うじて表情には出さない。これも日頃からの修練の賜物だろうか。
「今や時間は予算より貴重なものだ………次からは気を付けたまえよ。
　………次があれば、だがな？」
「………。」
皮肉に対しても直立不動の姿勢で、表情すら微動だにしない。
そんなニキを、第44機械化混成連隊のミケーレ・コレマッタ少佐は鼻で笑った。
自身は連隊所属の大隊長と言っていたが、一筋縄ではいかない曲者、とノーランは評価している。
………こーゆータイプの男は、一度目を付けられるとしつこいのよね。
それが、彼女の持った素直な印象だった。

ノーランの視線をよそに、コレマッタは相変わらず芝居がかった身振りで、彼の背後に立つ女性士官を示した。
「紹介しておこう………ヘイン曹長。キミと同じく22MR(機械化混成連隊)所属の、対MS特技兵だ。
　先の戦闘で小隊長が戦死したため、現在は小隊の指揮を執っている。」
「ソニア・ヘイン曹長です。E大隊3中隊4小隊所属………少尉殿の隊とは、ひとつ隣の戦区でした。」
その言葉に、ニキとノーランが姿勢を正す。
対MS特技兵E大隊………コールサイン、エーリカ。
つまり、エーリカ22の所属部隊だ。
「………そちらの2中隊2小隊と行動していました。彼らのおかげで、我々は生きています。」
「こちらは逆に、戦車隊に命を救われました。こう言ってはナンですが………
　お互い様、という奴だと認識しております。」
そう言って、ソニアは微笑んだ。
お互い命拾いしたのだから、恨んではいないと言っているのだ。
戦車隊はMSから逃げ回り、特技兵は捨て駒同然に扱われている現状、両兵種間の確執は徐々に目についてきている。
そんな中でのソニアの態度は、ニキやノーランにとって非常にありがたかった。
「さて、親交を深めるのは戦争が終わってからにしてもらおう。」
コレマッタの言葉に、全員が表情を改める。

そう、まずは戦争だ。

「我が軍の作戦構想は、あの鉄の巨人と忌々しいミノフスキー粒子によって脆くも瓦解した。
　既に戦線は崩壊寸前。至る所で絶望的な後衛戦闘が展開されている。」
………ジオンが来るのは判っていた。
しかし、大雑把な降下地点しか判明していない以上、陣地に籠もっての防御は都市部以外では難しい。
更に軌道上の艦隊から、軌道爆雷による爆撃も予想される。
基地及び都市部を除いて、重厚な防御陣地を構築する意味は薄かった。
そのため、多くの部隊は地形を利用した浅い塹壕を掘り、軽く土嚢を積んで偽装を施した程度であり、
即座に陣地を捨てて別地点へ移動できる態勢を取っていた。

敵はまず間違いなく平野部の広域に大部隊を降下させてくる。
よって連邦軍は当初、戦車を中核とする機械化された機動打撃部隊を多数用意し、
近接航空支援及び砲迫支援下での、陣地に依らない機動防御戦闘を想定していた。
砲迫射撃と航空攻撃で広域を制圧し、機動力と打撃力を備える機動打撃部隊が
ジオンの降下地点へ急行して濃密なキルゾーンを形成する。
本来なら、ジオン軍は降下地点から身動きすら取れず殲滅されるはずだったのだ。

………ジオン軍が軌道上からミノフスキー粒子を散布し、極広域電波障害が発生していなければ。
そして、鉄の巨人………モビルスーツが投入されていなければ。

豪雨のごとき軌道爆撃で基地と滑走路を完膚なきまでに破壊され、
更には電波障害によって航空隊は飛行すら覚束ない状態に陥った。
砲兵部隊は通信もままならない状況下では友軍誤射の危険もあり、やはり行動不能。
それでも敵を迎え撃つべく展開した機動打撃部隊の前に現れたのは、
徹甲弾をも軽々と弾き返し、120mm砲弾を乱射してくる鉄の巨人だった。
………後の惨状は、夕闇に沈む道を延々と続く葬列が物語っている。

「友軍は勇戦しているが、状況は芳しくない………まだまだ、戦場は血を飲み干すつもりのようだ。
　楽しい地獄だと思わんか、テイラー少尉………？」
粘着質なコレマッタの口調にも表情を一切動かさず、ニキは沈黙を保っていた。
「………そう。沈黙は美徳だよ、少尉。
　さて、キミ達の今後についてだが………いささか扱いに困っている。」
コレマッタは制帽をかぶり直し、ニキの周囲をゆっくりと歩きながら言葉を続けた。
「ワタシの隊に臨時編入されたとは言え、あくまでそれは応急措置だ。
　キミ達は後衛戦闘に立つことを希望しているが………それは、我が連隊所属の部隊で事足りる。
　キミ達には、別の戦場で戦ってもらう事となるだろう。
　貴重な戦車小隊と、実戦を経験している特技兵小隊………
　ましてや、初期の戦闘でジオン軍降下部隊と死闘を繰り広げた22MRの生き残りとなれば尚更な。」
その言葉に、無表情を保っていたニキが初めて反応した。
「死闘………？」
ニキの表情が、初めて動く。
流麗な眉をひそめてコレマッタに一歩詰め寄り、ニキは繰り返した。
「少佐殿は、あれを死闘と呼ぶのですか？」
「………何が言いたい？テイラー少尉。」
コレマッタの態度に、ニキの忍耐がついに限界に達した。
抑えきれない感情が、言葉の矢となって飛び出す。
「歩兵は踏み潰され！戦車は蹴り飛ばされ！砲弾は易々と弾かれる！
　………あれは断じて、&quot;死闘&quot;などではありません。
　我々は一方的に！為す術もなく&quot;蹂躙&quot;されたに過ぎません………！」
普段は感情を表に出す事も無く、沈着冷静が服を着ている、
とまで言われる彼女が激昂する姿に、ノーランはあんぐりと口を開け、
ソニアなどは口笛を鳴らして面白がっている。
しかし、コレマッタは反抗的な態度を咎めなかった。

逆に、静かに笑ったのだ。

右頬を引き吊らせるような、歪んだ笑み。
ニキは、彼の目を見て初めて気付いた。

この男は、自分と似た目をしている。
感情にとらわれず、利用できる物は全て利用して勝利を追求している。
戦術を組み立て駒を動かし、敵を倒す事にのみ価値を見出している。

「戦争狂」の目だ。

「………いいや。キミは間違い無く&quot;死闘&quot;を繰り広げた。
　僚車を欠く事無く、あの地獄を戦い抜いた戦車小隊長。
　まさに、&quot;英雄&quot;たる資格がある………そうだろう？テイラー少尉。」
コレマッタが言わんとしている事は明確だった。

英雄という名の道化となれ。

軍は彼女に、兵士としてではなく偶像として存在する事を求めているのだ。
「我々は勝利に飢えている………いや。今まさにこれから飢え始める。
　その時、キミが兵士達に勝利の味を思い出させてやるのだ。
　&quot;英雄&quot;という立場を利用して、な………。」
プロパガンダの為の、作られた英雄。
別に珍しい物ではない。戦争の風物詩と言っても良いだろう。
それで、兵士達が戦意を取り戻すなら。
それで、戦況に少しでも影響を与えられるなら。
たかが一士官のプライドなど、安いものだ。
「幸いにして、キミは実に見目麗しい。
　が、兵士達をより熱狂させるには、適当な渾名があった方が良いだろう。

　………&quot;鉄騎の戦乙女(STEELY VALKYRIE)&quot;。

　………どうだ？いかにも大衆ウケしそうな、俗な渾名だと思わんか？」
歪んだ笑顔のコレマッタに対し、ニキは静かに目を瞑り、敬礼した。

一人の&quot;英雄&quot;が、作り出された瞬間だった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
兵隊に酒と煙草と不平不満はつきものです。
愚痴ってこそ兵隊。そう思ってます。
だからこそ、真面目で硬い性格の兵士は物語映えしますよね。

IGLOO2唯一のレギュラーキャラ、ミケーレ・コレマッタ少佐。

皮肉屋だが有能な士官。
戦争に狂ったヒステリー。
部下の死を功績に変えるクズ。
心中では部下の死を悼んでいる指揮官。

受け取り方、描き方次第で何色にも変わる、実に便利な人物ですね。
自分は大好きです。あまりに便利なのでゲスト出演。
時系列的にはバーバリーがコレマッタから命令を受けた後ぐらいでしょうか。

ソニア姐さんは今回顔出しのみ。特技兵出身って事で。
この人、子持ちっぽい気がするのは気のせいでしょうか。
先任下士官やらせるには若すぎますが、そこはSFって事で。
それを言い出すと女性の戦車兵なんてーって話になりますし。

ニキ姉さんは動画よりも硬い・冷たいイメージで。
ノーランはこの頃まだ敬語ですね。2人ともF91編はお疲れ様でした。
テイラー小隊の面々はまた次回。
渾名はいかにも厨二病っぽく、誇張された感じで。得意です。
元ネタは旧箱の伝説的名作「鉄騎」と「戦場のヴァルキュリア」の両タイトル。

今回は人間模様とかを書いてみたかったんで戦闘シーンはナシ。
次回、市街地戦の予定。また書くのに時間かかるな。
動画は実家に帰れてないので順調に遅延中です。申し訳ありません。
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   <title>欧州撤退戦 前編</title>
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   <published>2011-09-04T03:45:42Z</published>
   <updated>2011-10-02T03:19:48Z</updated>
   
   <summary>宇宙世紀0079年3月1日 地球　ヨーロッパ南方戦線 「後退！後退！！」 誰かの...</summary>
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      宇宙世紀0079年3月1日
地球　ヨーロッパ南方戦線

「後退！後退！！」
誰かの絶叫。
その叫びも、巨人の足音に潰された。
悲鳴と絶叫を銃声が上書きし、爆発音がかき消し、怒号と喚声が折り重なる。
戦場は阿鼻叫喚の地獄と姿を変え、更に拡大を続けていた。

崩壊する戦線。

その最中でも、頑強に抵抗を続ける部隊は少なからず存在した。

      「………目標変換！2時方向敵戦車3、弾種徹甲、1班同時多目標、指命ッ！」
過不足無い指示が流れるように下される。
同時に砲塔が旋回。横列で進攻する3両の敵戦車、その最左翼に照準を定めた。
≪32良し！≫
「撃て！！」
150mm連装砲が吼える。
2両の戦車から驚異的な速射で6発のAPFSDSが撃ち出され、それらは過たず敵戦車の砲塔部と車体に突き刺さった。
&quot;砲塔部が独立飛行する&quot;という非常識な機構を搭載するジオンの戦車は、車体部を撃破しても無力化できない。
それは、混乱する戦場で少なくない犠牲を払って得た貴重な情報だった。
≪命中、撃破ッ！≫
「目標変換！1時方向敵部隊、連装撃て！」
連装機関銃の軽快な射撃音と共に、モニターに写る敵歩兵が薙払われてゆく。
その様を、ニキ・テイラー少尉は感情を殺した表情で睨んでいた。

地球降下作戦によってこの地に舞い降りたジオン公国軍は、
鉄の巨人「モビルスーツ」を主力に連邦陸軍を文字通り&quot;蹴散らした&quot;。
部隊間の連携はミノフスキー粒子によるジャミングで脆くも崩れ、
砲兵と空軍も効果的な支援を行えず、敵は電撃戦を期して戦場を突き進む。
大隊はおろか中隊とも交信途絶状態となったテイラー小隊は、随行する対MS特技兵小隊と共に当初の陣地を放棄。
第2線となる予備陣地まで後退し、手信号に手旗信号、発光信号、信号弾、
挙げ句の果てには伝令まで走らせて近隣部隊との通信を確立し、崩壊寸前の防衛線を辛うじて維持している。
主攻線からはそれているためか、MSの姿が見えないのも幸いだった。
≪敵部隊撃破。≫
「撃ち方待て。引き続き警戒せよ………ヴィスナ00、こちら30送れ。」
中隊本部を呼び出す声は確かに通信の波に乗ったはずだが、返ってくるのは空雑音のみ。
半ば無意味と気付きつつも、ニキは無線の周波数と符号を確認した。
全て規定通り、正常な値。発信出力も最大。
カメラで周囲の状況から少しでも有益な情報を得るべく視線を走らせる。
それは、心の底から湧き出る不安と恐怖を押し込める作業でもあった。
「ヴィスナ00、こちら30。送れ！」
連邦軍兵士のトレードマークである紅いベレー帽をヘッドセットで抑えつけ、
空雑音だけが響く中隊系周波数に呼びかけ続ける。
最悪の事態が脳裏を過ぎる。
まさか中隊本部は。1小隊と2小隊は。
「小隊長。」
ヘッドセットに響く明瞭な声。無線ではなく車内通話である。
「どうやら、生き残りはアタシらだけのようですね。」
どこか醒めた声に、ニキは一気に現実へと引き戻された。
「………まだ中隊が全滅したと確認されたわけではありません、ミリガン軍曹。
　不確実な情報を口走らないように。」
「でも実際問題、交信途絶でしょ。このまま動かなければ孤立しちゃいますよ。」
「………！」
突き放すように事実のみを伝える声。
車体前方の操縦席に座るノーラン・ミリガン軍曹のものだ。
一兵卒からの叩き上げで経験豊富なドライバーは、ニキに決断を迫っていた。
61式戦車5型の誇る高価な電子戦兵装はほぼ全てデッドウェイトとなり、長距離射撃を封じられた結果、
戦闘は旧世紀の戦車戦に逆戻りし、殴り合い同然の射程で射撃の応酬が行われている。
あの巨人を相手にするには、少々不利な間合いだ。
このままでは、遠からず致命的な損害を受けるだろう。

下されている命令に固執して陣地を防御し、巨人に踏み潰されるか。
壊走する友軍に混じりしっぽを巻いて逃げ出すか。
それとも。

逡巡するニキ。
自分達の前方に配置されていた友軍は、防衛線を放り投げて逃げ惑っている。
それを追撃しているであろう敵の姿は、まだ確認できない。
このまま通信もままならない状態で接敵すれば、連携もとれず確実に各個戦闘になる。
そうなれば全滅だ。

「………陣地を放棄し後退します。操縦手、後退用意。」
バックギアが入る軽い震動。
近隣に展開する僚車と支援の歩兵部隊への命令伝達方法に少し迷ったが、
手信号と近距離無線の二段構えで行う事にした。
「エーリカ22、こちらヴィスナ31。現在地を放棄し後退する。」
そう言いつつ、砲塔部ハッチを開放。
上半身を乗り出すと、熱風が顔を叩いた。

周囲に漂う硝煙の匂い。
戦場の匂いだ。

≪ヴィスナ31、こちらエーリカ22。また後退だと？
　我が方は依然損害を出していない。まだ戦える！≫
血の気の多い声。随伴する対MS特技兵小隊の指揮官は、当初の主陣地を放棄する事にも難色を示していた。
「我々だけが踏み留まってもいずれ全滅します。
　後退して友軍との連携を確立、防衛線を再構築すべきです。」
ニキはあくまで冷静に理解を求めた。
コロニー落としで家族や友人、恋人を失った兵士達は数え切れないほどだ。
そして、今この地が守るべき故郷だという者も少なくない。
エーリカ22の小隊長も、そうした経緯でジオンへの復讐を誓った兵士の一人なのだ。
≪………いずれにせよ、前線から後退中の友軍を見捨てて逃げる事などできん。
　エーリカ22は現在地にて友軍の後退支援を続行する！≫
頑なな拒絶。
それが隊長の独断ならば、正常な判断力の喪失として指揮権を剥奪しているところだが………
≪エーリカ221傍受。現地点にて友軍の支援、了解。≫
≪222、了解した。≫
≪こちらエーリカ223、傍受した。≫
対MS特技兵小隊の各分隊から届く近距離無線。

彼らの意志は固い。
その身を賭しても、ジオンに一矢報いるつもりだ。

≪………ヴィスナ31。防衛線が崩壊しつつある今、確かに戦力温存も重要ではある。
　戦車小隊は直ちに後退。本隊との合流を目指せ。≫
「………！」
絶句するニキへ向け、エーリカ22の小隊長は見事な敬礼をして見せた。
≪機甲部隊は今後の戦闘で重要な戦力となる。貴官らの戦場はここで終わりに非ず。後退せよ！幸運を祈る！≫
「………小隊長、指示を。」
ノーランの震える声。
ニキは静かに深呼吸し、エーリカ22の小隊長へ敬礼を返した。
「エーリカ22の………幸運を祈る。最適の健闘を！」
そしてその右手を突き上げる。
「ヴィスナ30、こちら31！小隊は友軍との合流すべく後退する！30………後へ！」
右手が振り下ろされると同時、履帯が軋みを上げて回転し始める。
100mほどの間隔を開けて掘られた戦車壕から、4両の61式が飛び出した。
「敵に背を向けるのは趣味じゃないですが、速度が欲しいですね。」
カメラで後方視界が確保されているとは言え、決して良好とは言えない。
本来なら車長が誘導するのだが、ニキには敵方を警戒するという重要な任務があるのだ。
敵に追いつかれないよう退がるならば、脆弱な車体後部を晒さざるを得ない。
「確かに………30、31。200m後退後、車体方向変換………」
≪31、こちら34！敵方にて爆発！！≫
4車からの警告。見れば、前線から後退してくる友軍の車両が燃え上がっている。

その爆煙の傍らに、傲然と立つ緑の巨人。

「モビルスーツ………！」
そのモノアイが朱く光り、ニキ達戦車小隊を捉える。
そしてマシンガンを構えようとした矢先、隠蔽された対MS陣地が射撃を開始した。
対MSミサイル、リジーナ………エーリカ22の、対MS特技兵小隊の攻撃だ。
≪ヴィスナ31、後退せよ！後退せよ！！≫
立て続けに放たれたリジーナを辛うじて交わしたザクは、体勢を崩しながらもマシンガンを掃射。
乾いた大地が耕され、歩兵が木の葉のように吹き飛ばされる。
それでも、エーリカ22の攻撃は止まらない。
次々とリジーナが放たれ、ザクの注意を戦車小隊から引き剥がす。
≪後退せよッ！！≫
「30、31！スモーク散布！！方向変換、事後全速で離脱！！」
最早余裕など無い。
スモークディスチャージャーから発煙弾が打ち出され、周囲が白煙で覆われる。
同時に方向変換。砲塔部は敵方に向けられながらも、ドライバーは正面視界を確保して高速で離脱を開始した。
煙幕を突き破ってマシンガンが掃射されるが、地面を穿つだけに終わる。
再び空雑音のみとなった無線を聞きながら、ニキは拳を握りしめていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

随分とお待たせしております。生きてます。
地球降下作戦の記述は結構錯綜していて色々な説があります。

第1次降下作戦の攻略目標は旧ロシア地区のバイコヌール宇宙基地であり、
中部アジア地区、天山山脈北部のバルハシ湖及びアラル海へ降下。
バイコヌールを攻略後は2手に別れ、カスピ海北岸から欧州、そして東岸から中東へ向かった………
というのが、どうも有力な説っぽいです。

ただ、重力戦線1の戦場はどうも中央アジアには見えないんですよね。
結構ジオンは広域に部隊を投入して、バイコヌール - オデッサあたりは広い範囲で戦場になったのでしょうか。
とりあえず、拙作は重力戦線1を基準に書いております。

現代の戦車操縦手に後方視界なんてものは存在しません。
車長や装填手が目となって誘導する事で辛うじて後方への移動が可能となります。
だから、重力戦線2でスラー軍曹が「視界が！」と苦しみつつも独力で高速バックしているのは、
自分からすればかなり驚異的な事です。他の人が残骸で事故ってたけど、普通ああなります。すげー。

動画の更新も相変わらず牛歩で、盆頃予定を順調にぶっちしてますが、
9月中にはうｐできれば…遅くとも10月初旬には…と考えています。
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   <title>61式戦車8型 [M61A8]</title>
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   <published>2011-07-05T14:52:38Z</published>
   <updated>2011-10-02T03:17:18Z</updated>
   
   <summary>「陸の王者」「究極のMBT」 そう謳われた61式戦車は間違いなく最強・最高の戦闘...</summary>
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   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cross-fire.mods.jp/blog/">
      「陸の王者」「究極のMBT」
そう謳われた61式戦車は間違いなく最強・最高の戦闘車両であり、
事実一年戦争においても61式は連邦陸軍の戦線を支えた傑作戦車である事に疑いの余地は無い。
しかし、その戦いは「血で血を洗う」と形容するに相応しい、壮絶な対MS戦の連続だった。

そう。王者の黄昏は、巨人の出現に始まったのだ。

ジオンの新兵器………MSの地上戦における有用性に関し、連邦陸軍は懐疑的だった。
宇宙空間では無類の強さを誇るザクも、1G環境下では18mの直立する巨大な標的に過ぎず、
強固な装甲を有しているとはいえ61式の150mm滑腔砲で充分貫徹可能なレベル。
そしてジオン兵は重力下………いや、「地球環境下」での戦闘経験が皆無だ。
地球でならば、自分達のホームグラウンドでならば負けはしない。

………その考えは長期的には正解であり、短期的には間違っていた。
そしてその間違いは、前線の兵士達の血で贖われる事となる。
      ミノフスキー粒子の実用化によって戦場はその様相を一変させた。
あらゆる電子戦兵装は無力化され、61式はザクを相手に有視界戦闘を強いられる事となる。
衛星からのデータリンクで常識外の超長距離精密射撃を可能とした61式。
その最大のアドバンテージが脆くも崩れ去った。

そして、61式が一方的なまでにザクに撃破された最大の理由。
それは、連邦陸軍が侮ったその巨体にあった。
………ザクの攻撃は、61式に対しほぼ確実にトップアタックとなるのである。
装甲の薄い車体上部は、ザクの有する装備なら全て致命傷となりうる。
そして「18mの巨大な標的」のはずのザクは61式の砲撃をシールドで弾き返し、
跳躍して一気に距離を詰め、その巨体で61式の後退速度を上回る突進を行ってきた。
それは精神的な圧迫となって戦車兵達に重くのしかかり、
欧州撤退戦を始めとする緒戦で連邦陸軍が壊走した一因となった。

しかし、ザクに対抗しうる兵器は61式を置いて他になく、
前線の戦車兵達は立体機動を駆使して戦場を蹂躙する巨人に対し、絶望的な平面機動格闘戦を挑む事となる。

………一年戦争のターニングポイント、オデッサ作戦。
参加した61式戦車の数は5000とも6000とも言われているが、その損耗率は80%オーバーを記録した。
このデータからも、61式が対MS戦を生き残るのが如何に難しいかが見て取れる。
戦車兵にとって、MSはまさに死神だったのだ。

見る影もなく磨り減った連邦陸軍機甲部隊だが、それでも彼らは61式を必要としていた。
高い汎用性を誇るMSとは言え、不向きな任務は多い。
特に、歩兵部隊の直接支援や平地での砲撃戦がそれに当たる。
低速での平面機動時に「歩く」という特性を持つMSでは歩兵を踏み潰しかねない危険があり、
市街地戦の際に歩兵部隊の盾となる事が難しかった。
建物内に潜む敵兵を相手にするにはAPCでは火力・装甲共に不安が残る。
建物ごと敵兵を吹き飛ばせる火力と、歩兵の盾となりえる重装甲。
皮肉にも、MSによって否定された火力と装甲が再び求められる事となったのだ。

そして、平地での砲撃戦。
緒戦の衝撃から立ち直った連邦陸軍の戦車兵達は、巨人を狩るため「地の利」と「数の優位」を徹底的に利用した。
遮蔽物が少なく充分な距離を得られる平地で、MS1機に対し1個小隊4両以上で対処する事。
そうしてMSの優位性を潰し、確実に撃破してゆく。
ザクは強力だが、広大な戦線をカバーするには数が少なすぎた。

さながら、クジラを狩るシャチの群れのように。

連邦陸軍の戦車兵達は、巨人を倒す術を編み出していった。

………そして、失われた機甲戦力を補うため、61式戦車5型の改修が開始される事となる。

まずは一年戦争末期。
各地で鹵獲されたHT-01B「マゼラ・アタック」やYMS-16M「ザメル」、
北米戦線にて残骸が回収されたYMT-05「ヒルドルブ」等のジオン軍の兵器群と、
RX-75「ガンタンク」、RTX-440「陸戦強襲型ガンタンク」等の開発技術と運用データ、
さらにはMSの管制システム等をフィードバックし、1人操縦となった6型が開発された。

この時点ではまだ「1人乗りになった61式5型」であり、他に目立った改修は加えられていない。
せいぜいが操縦席を排し、管制システムを更新、エンジン出力を強化した程度だった。
主戦場は地球から宇宙へと移ったため、終戦まではこれで充分とされたためである。
しかし、地上戦は未だに継続しており、前線からは改善要望が山のように届いていた。

そしてRMV-1「ガンタンクⅡ」(後の75式戦車Ⅱ型)の試験配備に伴い、61式戦車7型の開発が行われる。

車体後部の兵員室を排し、弾薬架を増設。
砲の懸架装置と自動装填装置に大規模な改修を加え、最大仰角の大幅な引き上げが行われた。
これにより継戦能力の向上と、近距離での対MS戦時における対処を可能とした。
場合によっては姿勢制御や地形地物を駆使して対空射撃を行い、実際に航空目標を撃墜した事例も多数報告されている。
最新鋭の火器管制システムとベテラン戦車兵の組み合わせが成し得る神業、
そして7型自体が持つポテンシャルを雄弁に物語っている。

更にその発展型として、グリプス戦役直前に8型がロールアウト。
これにはかつてミノフスキー粒子によって無力化された衛星とのデータリンク、
その近代化版である車両間データリンクシステムが搭載されている。
随行するM353A4「ブラッドハウンド」との近距離通信でデータのやり取りを行い、
音響、振動、光学等の各センサーから得られた観測情報を元に射撃する事で、
1個班2両以上の集中射において驚異的な命中率を発揮する事ができる。
無論、ブラッドハウンドの支援を受けられない場合でも、小隊各車が得たデータを元にして射撃する事も可能だった。
8型の配備が開始された頃には既にRMV-1「ガンタンクⅡ」が、75式戦車Ⅱ型として正式に機甲部隊へ配備されており、
61式8型と75式Ⅱ型の混成戦車部隊はジオンの残党狩りで高い戦果を挙げた。

また、車体の改良に併せて搭載する砲弾の改良も随時行われている。

対MS徹甲弾(AMSAP : Anti Mobile Suit Armour Piercing)
多目的対MS榴弾(HEAMS-MP : High Explosive Anti Mobile Suit - Multi Purpose)
対空用榴散弾(Type-3)
焼夷榴弾(Type-77)
閃光発音弾(Flash Bang)

特に対MS戦に対応すべく高威力化が図られたAMSAPやHEAMS-MPは、
通常の装甲目標等に対しては必殺と言っても過言ではない攻撃力を持っており、
マゼラ・アタックやマゼラ・アイン等に対し、61式は正面から戦えばまず確実に勝利できた。
(………ただし、マゼラ・アタックは砲塔が分離飛行するという常識外の機構を内蔵しており、
「分離する前に砲塔部を潰す」というセオリーが確立されるまでは、トップアタックで撃破される61式も少なくなかった。)

多彩な弾薬は音声認識又は手動入力によって指定、自動装填装置によって選別・装填される。
連装砲という特性も相まって戦車砲としては驚異的な速射が可能だった。

しかし一方で、乗員が1人になった事による弊害も少なくない。
野整備及び野営時の警戒等を行う際の人手不足、乗員が負傷した際の生存率の低下等が挙げられる。
これをカバーするため、機甲大隊には常に歩兵連隊と、後方支援連隊の戦車直接支援中隊がセットとなって作戦行動を行った。

こうして61式戦車8型は、汎用性においてはMSに及ぶべくもないが、
それでも有用な対MS兵器として戦場で戦い続ける事となる………。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

………ガノタの先輩陸曹曰わく、
「ミノフスキー粒子散布下でさえなければ、ザク如き61式なら遠距離から一方的にボコれる。」
………との事です。まさに「ぼくのかんがえたさいきょうのせんしゃ」。
IGLOO2では口径が155mmとなっていますが、Gジェネでは150mmなのでGジェネ準拠で書いています。
たぶんGジェネの方が誤記。

「1人乗りの戦車」というのは、現実にはかなり無理がある存在です。
操縦、戦闘はともかく、その他が大変。
基本的な整備は全て乗員がやるし、野営時の警戒も乗員が交代でやります。
74式から90式に代わって乗員が4人から3人になっただけで、その負担は相当増えたそうで。
実際、自分も乗員4人で結構ヒィヒィやってます。戦車掩体構築とかマジ勘弁。
小説版のコロ落ちやIGLOO2の2話で整備班の描写が少しありますが、
連邦陸軍は乗員と整備兵をしっかり区別して組織していると思われます。
きっと空軍の戦闘機パイロットと整備兵の関係に近いのでしょうね。いいなぁ。

対人型兵器を想定した戦車と最初に出会ったのは、
初代PSの「アーマード・コア　プロジェクトファンタズマ」に登場するセントーアでした。
対AC戦闘を想定した重戦車。攻略本の設定資料にえらくときめいたものです。
セントーアはトップアタック対策として、砲塔上部に20mm連装機関砲を装備しています。
まぁAC相手にゃ気休めですが、今思えば対空射撃も可能な優秀な戦車でした。
ゲーム中の61式にも、せめて機銃くらいあればなぁ………。

弾薬については教育隊にいた頃から妄想していました。
名前はこじつけ略語と元ネタありのインスパイア品。
略語はそれぞれ「あむさっぷ」「ひーむす・えむぴー」と脳内ルビ。
Type-3はIGLOOのヒルドルブが使用していた弾種から。いわゆる3式弾。
Type-77は米軍のナパーム弾の後継兵器、Mark77から。
Flash Bangはそのままですね。IGLOO2にも登場。
現行の105mmAPFSDSは、初期の120mmAPFSDSに匹敵する威力があるとの事で、
ならば宇宙世紀の150mmは恐ろしく高性能なのだろうなと思います。
また、現代のHEAT-MPはレーザー近接信管でヘリも撃墜可能らしいです。
であればきっと我らが61式なら、ゲタ履きのMSを撃墜する程度、雑作もないはず………！
ま、防御面で戦車がMSに勝る事はまず不可能ですが、火力だけならあるいは………。

欧州撤退戦というキーワードはF91編でも出しましたが、現在話を書いています。
休みの合間にIGLOO2を見直さんとな………。
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   <title>AMSM-1 [Anti Mobile Suit Missile Mk-1]</title>
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   <published>2011-06-04T14:26:56Z</published>
   <updated>2011-10-02T03:15:35Z</updated>
   
   <summary>………一年戦争開戦当初、連邦宇宙軍のセイバーフィッシュが対MS戦で苦戦した背景に...</summary>
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      ………一年戦争開戦当初、連邦宇宙軍のセイバーフィッシュが対MS戦で苦戦した背景には、
単純な性能差とミノフスキー粒子散布下という状況以上に、致命的な火力不足がある。
間合いを問わず280mmや120mmといった大口径の砲弾を連射するザクに対し、
セイバーフィッシュの主兵装たる25mm機関砲や空間ミサイルではザクの装甲を貫けず、
威力は充分だがペイロードを圧迫する対艦ミサイルしか対抗手段が無かったのだ。
そしてミサイル類は例外なく、ミノフスキー粒子によって誘導装置が無力化されている。
結果として、宇宙軍は緒戦で大敗を喫し、多くのフィッシュライダー達が宇宙へと散って行った。

「あの巨人を貫ける槍を！」

宇宙から届く悲鳴のような要望から、対MSミサイル「AMSMシリーズ」は産まれたのである。
      名目上は空軍と宇宙軍の共同開発となっていたが、ルナツーを除く主要拠点を喪い、
深刻な人材不足に陥っていた宇宙軍に最早余力は無く、対MS戦のノウハウが皆無な空軍主導で開発が行われた。

しかし、AMSM開発チームが越えるべきハードルは、あまりにも多かった。

「ミノフスキー粒子散布下での有視界戦闘」という未知の状況は、
誘導兵器信仰に凝り固まった空軍には想像の及ばぬ世界の話であり、
旧式の有線誘導型を提唱する宇宙軍の案は見送られてしまったのだ。
また、宇宙軍が提示したMSの装甲防護力を上回るために、
装薬量の問題からAAMベースではなくASMベースでの開発が進められた。
結果、AMSM-1は対空戦闘には使えず、対艦・対戦車用としては明らかな過剰火力となり、
宇宙軍からの報告を受けているにも関わらずMSの性能に懐疑的な空軍上層部からは、
「用途が限定されすぎる」「既存兵器で充分では」という意見が続出した。
誘導装置もミノフスキー粒子散布下では電卓以下の赤外線誘導という有り様で、
その実態は対艦ミサイルのマイナーチェンジでしか無かった。

………が、しかし。
「ザクを貫ける攻撃力」「対艦ミサイルより多く搭載可能」という、2つの要望を満たしていた事だけは確かだった。
そして、それはまさに連邦のパイロット達が欲していたものだったのだ。

AMSM-1の生産・配備は速やかに開始され、最前線のパイロット達の手に託された。
更なる犠牲を積み上げながらも、軌道上で、ルナツー周辺宙域で、
そして地球上でザクを撃破していったAMSM-1は想定以上の戦果を挙げたが、
同時に開発当初から指摘されていた問題点や、新たな改善案が数多く出てきた。

現場から山のように届くパイロット達の要望を元に、開発チームはAMSM-1の改良を軍上層部に提唱。
これにGOサインが出され、AMSMシリーズの系譜は、
誘導装置を有線誘導型に変更したAMSM-2(0079年中期～)、
現場からの要求で更に装薬量を増やしたAMSM-2B(同後期～)、
2B型を再設計し機動性と装甲貫通能力を向上させたAMSM-3(0081年～)、
ドダイ等のSFSを使用して飛行能力を得たMSへの対空攻撃も可能とし、
全領域対応型となったAMSM-4(0084年～)へと紡がれてゆく事となる。

0093年現在、最新型のAMSM-7は第4世代型重MSの装甲を貫通可能であり、
誘導装置はインコムシステムを応用した有線式簡易思考制御型となっており、
「インコムミサイル」とでも言うべき代物となっている。
当然、生産コストの高騰は避けられず、配備は一部の部隊に限られているが、
AMSMシリーズは開発チームの意地と矜持の結晶であり、空軍と宇宙軍の戦闘機乗り達にとっての「巨人に抗しうる槍」として、
今日に至るまで開発・改良が継続されている………。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「通常兵器がMSと互角以上に戦えるのはどう考えてもおかしい。」
「………じゃあ勝てる理由となる後付設定考えれば良くね？」
「お前マジ頭良いな。」
ってなわけで、超どうでもいい裏設定シリーズです。
え？矛盾点？何ですかそれ、美味しそうな響きですね。

以前から、我が隊のフライマンタやドン・エスカルゴは謎の超高性能爆弾、
対MS知性化弾頭弾「BAKUGEKI」を使用していると公表していましたが、その実体はベールに包まれたままでした。当たり前か。
他にも「61式戦車7/8型」「対MS徹甲弾(AMSAP)」「多目的対MS榴弾(HEAMS-MP)」等々、
名前だけ適当に決めたような超兵器が色々出てきていますが、
どうせならそれっぽい裏設定作ったほうが面白いよね、というコンセプトです。

今回は我が隊の主力戦闘攻撃機、セイバーフィッシュのミサイルに関して。
「ザクの装甲を貫けないはずの空間ミサイル」
「ミノフスキー粒子散布下で誘導装置が死んでいるはずなのに脅威的な高命中率」
といったゲーム上の謎を、それっぽく味付けしてみました。
そのうちBAKUGEKIの設定も作ろうと思います。

6月に入って休暇を頂けたので、動画の作成も再開します。
具体的な投稿日はまだ未定ですが、今月中にうｐできるようがんばります。
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   <title>HELL DIVE 後編</title>
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   <published>2011-05-30T12:34:40Z</published>
   <updated>2011-10-02T03:13:22Z</updated>
   
   <summary>宇宙世紀0079年1月6日 「アイランド・イフィッシュ」落下軌道上 待ち望んだ時...</summary>
   <author>
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      宇宙世紀0079年1月6日
「アイランド・イフィッシュ」落下軌道上

待ち望んだ時は、日付が変わって数時間後に訪れた。
ジャミングが途切れ、コロニーの正確な落下軌道が掴めた刹那の間。

≪作戦開始！目標………イフィッシュ後端、核パルスエンジン！吶喊せよ！！≫

4戦隊司令の号令で、飢えた猛禽達が解き放たれた。
36隻ものパブリク型突撃艇が、ブースターに点火し加速を開始する。
その前方に、第4戦隊所属のセイバーフィッシュ中隊がエスコートすべく滑り出た。
更に周囲を旗艦カサブランカ以下、第4戦隊のサラミス級4艦が随行する。

攻撃目標は唯一つ。
コロニーを押し進める、核パルスエンジン。
現状投入可能な最大の火力を、標的に叩き付ける。

障害となるのは護衛艦隊のピケットライン。
何層も張り巡らされているであろうそれを、火力と機動力で強行突破する。
損害問わず。1艦、1艇でも射程に辿り着けば、それで良い。
コロニーを少しでも足止めし、ルナツー艦隊が展開する時間を稼ぐのだ。
      1つの暴風となって、コロニーを目指す攻撃隊。
切り札となる8宙雷の突撃艇群は、4戦隊に守られるよう飛んでいる。
その中の1艇………ペネトレート7を指揮するラビニア・クォーツ少尉は、艶やかな唇を一嘗めして呟いた。
「さぁ………地獄巡りよ。」
データリンクの状態が表示されているモニターを確認。
今のところ正常に作動しているが、遠からず敵襲を察知した護衛艦隊によってジャミングされるだろう。
そうなれば、どこまで連携が保てるか怪しいものだ。
「頼むぜ、オレに仕事をさせてくれよ。」
「護衛機に言ってくださいよ。
　弾幕はともかく、敵機に張り付かれたらたまらない。」
「畜生………核弾頭かマゼラン級でもありゃ、もう少しラクなんだがなァ。」
口々に愚痴る宙雷士と装舵手。
2人とも、緊張を会話で紛らわせようと必死なのだ。
その軽口の応酬に参加せずモニターを睨んでいた通信士が、緊迫した声で叫んだ。
「艇長！」
「来たわね………！」
&quot;LINK DISCONNECTED&quot;と簡潔に表示されたモニター。
ついに、ジャミング圏内………「霧」の中へと、足を踏み入れたのだ。
「データリンク切断！近距離用のものを除き、
　全ての通信回線とセンサーが死んでます！」
通信士が、切断直前に得られた情報を表示。
そこから先は、予測と目視、そして直感頼みとなる。
「装舵！後はアナタの腕次第よ。人生最高のダイブをしてみせなさい！」
「了解！」
ラビニアの言葉を受け、操縦桿を握り直す装舵手。
半ば耳目を封じられた通信士は慌ただしくモニターの表示を切り替え、
生きている回線とセンサーを使用して装舵と宙雷のサポートに回る。
そして通信回線より、雑音混じりの警告が発せられた。
≪カサブランカより全ユニットへ。敵機発見！機数3、方位0-4-0、プラス20度！≫
≪ハルバード3、エンゲージ。11、12、我に続け。≫
前方に敵影。ピケットラインに接触したのだ。
3機のセイバーフィッシュが飛び出し、サラミス級が砲撃開始。
単装砲よりメガ粒子の奔流が次々放たれるが、命中には至らない。
「………何よ、コレ。砲手は酔っ払ってるの？それともルーキー揃い！？」
思わず舌打ちするラビニア。
百発百中と言っても過言ではない、最新鋭の砲雷撃管制システムを使用していながら、何たるザマだ。
「………ジャミングによる影響が砲雷撃管制にまで及んでます。
　レーダー照準、熱源追尾、共に不能。目視照準にて射撃中！」
「何だとう！？」
予想外の事態に思わず声を上げる宙雷士。
彼の仕事であるミサイル雷撃の管制は難易度が跳ね上がった事になる。
センサー類だけでなく、電子戦兵装の一切を無力化する強力なジャミング。
ラビニアの背筋に、嫌な汗が流れる。
………しかし、既に賽は投げられたのだ。
ルビコン川は渡らねばならない。
≪カサブランカより全ユニットへ。新たなる敵影3。方位3-1-0、マイナス10度。≫
≪ハルバード2、エンゲージ。6、続け。≫
≪モーリシャス、砲撃開始。≫
≪………らハルバード10………の機………はガトル型………≫
続々と続く友軍の報告。
直援のセイバーフィッシュ中隊………ハルバード隊は、
ジオン公国軍のガトルを相手に優位に戦っているようだ。
ドッグファイトでセイバーフィッシュが遅れを取るなど有り得ない。
艦隊の援護下かつベテランパイロット揃いなら尚更だ。

………この程度で！

ラビニアに限らず、誰もがそう思っている事だろう。
口の端がつり上がる。

面白い。
もとより、殴れる距離まで突っ込むのが突撃艇の本分だ。
有視界戦闘になろうが、目視照準になろうが………
突撃艇乗りが、この程度で臆するものか！
「宙雷！」
「シーカー、カット！無誘導で撃ちます！」
「上等よ。装舵、通信は全力でこれを支援！意地でも当ててみせなさい！」
「了解！！」
クルー達は冷静だ。これなら問題ない。
そう判断し、視線を正面に戻した時。

≪ビザンより全ユニットへ。イフィッシュを目視。繰り返す、イフィッシュ目視！≫
ついに、標的を肉眼で捉えた。

核パルスエンジンの劫火を引いて宇宙の闇を切り裂くコロニー。
地球の北極側を上方、南極側を下方とするならば、攻撃隊は上方より逆落としにコロニーへと突っ込む形となる。
「捉えた………！」
思わず声がでる。それを諫めるように、中隊長からの指示が飛んだ。
≪ペネトレート1より各艇！焦って飛び出すなよ、現隊形を維持！≫
≪新たなる敵影4！方位0-4-0、プラス60度………巡洋艦1を含む！≫
≪同じく敵影4。方位1-1-0、プラス10度！編成同じ！≫
重ねるように警告。いよいよ敵の迎撃も激しくなってきた。
こうなると、直援が1中隊のみでは支えきれない。ここからが本番だ。
≪ハルバード1、エンゲージ。突撃艇に近寄らせるな！≫
次々とエンゲージをコールし、突っ込んでゆくセイバーフィッシュ。
サラミス級の砲撃も更に激しさを増し、ガトルを接近させまいと弾幕を張る。
目視照準なのは敵も同じなのか、巡洋艦の砲撃は虚空を貫くばかりだ。
砲雷撃はお家芸、と豪語する連邦のベテラン砲手達は当初の混乱から立ち直り、
挟叉弾から至近弾、そして直撃へと繋げる砲撃を行い、1隻目の巡洋艦を撃沈せしめた。

………これなら行ける！

徐々に大きくなるコロニーを睨み、最終加速までのカウントダウンを開始した時。

≪新たなる敵影3！方位0-0-0、プラスマイナス0度！真正面からだ！≫

火力を集中させやすい、正面からの接近。
すぐさま4艦全てから砲撃が開始され、直援のセイバーフィッシュ3機が前進する。

しかし敵機は、軽々とメガ粒子の砲弾を回避した。
ガトルなどとは一線を画する、踊るように鮮やかな機動。
「………何？」
一瞬の出来事だった。
反航戦で牽制として放たれた25mm機関砲をあっさりかわし、
交錯したと思った時には3機のセイバーフィッシュは閃光となっていた。
「………射撃用意！連装小型MSL及び40mm！！」
「レ、レディ！」
鋭い指示に宙雷士はすぐさま補助兵装の射撃管制に移る。
パブリクの機首に設けられた6連装小型ミサイルランチャー2門と40mm機関砲4門。
主兵装たる大型ミサイルとは比べるべくもないが、重要な自衛装備だった。
「装舵、最終加速用意！表示するカウントに従いなさい！
　通信、装舵の補佐へ！編隊が乱れる可能性が高いわ、警戒を厳に！」
矢継ぎ早に指示を出す間にも、敵機は軽快な機動で接近してくる。
弾幕を嘲笑うかのように真正面から切り込んでくる敵機。
もはや肉眼で捉えられる距離まで到達したそれは、見紛う事なき「人」の形をしていた。
「………人！？いえ………ロボット！？」
「冗談でしょう！？」
≪各艇、隊形を崩すな！このまま突っ切る！！≫
混乱する突撃艇乗り達を、ペネトレート1が叫ぶように制する。
そしてついに、「巨人」達が攻撃隊に取り付いた。
3機の巨人は突撃艇と直援機には見向きもせずに、4戦隊のサラミス級を狙ったのだ。
ラビニア達から見て左舷上方を航行していたモーリシャスが標的となった。
すれ違い様、正確に単装砲の砲塔部を撃ち抜く。
≪モーリシャス被弾！右舷及び上部単装砲、大破！≫
「速い！」
唖然とするラビニア。
手足を振って振り向き、追撃に移る3機の巨人。
2機が機銃を引き付けた隙に、1機が艦橋を踏み潰すように「着艦」。
手に持った「銃」を足下へ掃射して飛び上がる。
残る機銃と単装砲は尚も射撃を続けていたが、距離を取った1機が放った「バズーカ」が推進部に直撃。
モーリシャスは、巨大な火球となって轟沈した。
「………！！」
あまりの光景に、思わず言葉を失うラビニア。
≪カ………カサブランカよりビザン、アマデウス！弾幕張れ！！≫
≪ハルバード1より各機！最優先だ、あの巨人を墜とせ！！≫
突撃艇を守るべくサラミス級が、セイバーフィッシュが巨人を追う。
それを軽くあしらいながら、3機の巨人は次なる獲物………アマデウスへと狙いを定めた。

半ばパニック状態に陥った4戦隊をよそに、突撃艇の編隊は乱れる事なく飛び続けた。
≪ペネトレート1より各艇。≫
いつもに増して静かな中隊長の声。
その声に、ラビニアもまた冷静さを取り戻す。
手元のモニターのカウントダウンは、10秒を切っていた。
≪全ブースターに点火、最終加速開始。突撃艇、前へ。≫
「………加速開始！」
その言葉を待っていたかのように、装舵手がスロットルを押し込んだ。

パブリクの艦体後部、眠っていた4発の大型ブースターが目を覚ます。
僅かな火種は推進剤を貪って、瞬く間に巨大な推力を産む噴炎へと成長した。
爆発的な加速に、身体がシートへ押し付けられる。
まるで弾かれたかのように、全突撃艇が最終加速。
呆気にとられる3機の巨人と4戦隊を後に残して、「ヘル・ダイブ」が始まった。

ジオンのパイロット達は、初撃で突撃艇を狙うべきだった。
彼らは後続機を援護するため………そして最も目立つ脅威を排除するため、
サラミス級とセイバーフィッシュを相手にしてしまった。

………巡洋艦と直援機を沈めれば、小型艇などいつでも血祭りに出来る。

その判断は誤りではない。
少なくとも、最終加速が開始される前までは。

「前方、巡洋艦2、敵機5、訂正6。接触まで10！
　その奥、更に巡洋艦4！接触まで25！！」
通信士の警告。
2隻の巡洋艦が進路上を塞ぐように展開し、巨人が砲口をこちらへ向けている。
≪兵装使用自由！任意に射撃して良し！≫
「連装小型MSL、撃ち方始め！」
「MSL、リリース！」
主兵装の大型ミサイルを除く補助兵装の射撃許可が下りると同時に、
連装小型ミサイルランチャーを発射。
他の艇もそれに続き、無数の小型ミサイルが無誘導で文字通り&quot;バラ撒かれた&quot;。
さながら投網のように放たれた小型ミサイルの弾幕に、
巨人は肩のシールドで頭部と胸部を守るように身をすくめ、巡洋艦も機動を乱す。
そして、カーニバルのような爆発が咲き乱れた。
一発一発は大した破壊力を持たないが、数が多すぎる。
閃光が消えた後には手足を破壊された巨人が漂い、よたよたと退避運動を行う巡洋艦の艦体は、無惨にも耕されていた。
それを無視して、突撃艇は突き進む。
もとより、護衛艦隊に用など無いのだ。
「連装小型MSL、再装填！」
「レディ！」
「砲撃、来ます！」
次の防衛ラインに展開する艦から、メガ粒子砲による砲撃が開始される。
しかし密度は薄い。機銃座による弾幕の展開すら無かった。
それをカバーするかのように巨人が展開し、機関砲相当の銃で射撃を開始。
だが、彼らは連邦宇宙軍の壁のような弾幕を相手に訓練してきた、生粋の突撃艇乗り達だ。
宇宙軍の誇る命知らず達なのだ。
「ヌルいわね。」
「このまま突っ切ります………！」
戦闘による興奮が滲む装舵手の声。
その直後、視界の端で味方が被弾した。
≪………ペネトレート11被弾！ミサイル発射する！！≫
右舷巡航用ブースターから火を噴いたペネトレート11は、即座に大型ミサイルを発射。
標的はコロニーではない。眼前の敵巡洋艦だ。
更に、自身もそのまま敵艦に突っ込む進路を取る。

もとより、生還など考えていない。
差し違えても標的を潰す。
ミサイルを抱えたまま墜ちるなら、1人でも多く道連れにする。
それだけが、突撃艇乗りの任務なのだ。

泡を食って回避行動に移る敵巡洋艦に、大型ミサイルとペネトレート11が「着弾」した。
一際大きな閃光の花が咲く。
「………！！」
「怯むなッ！そのまま突っ込みなさい！！」
「了解………！」
乱れた防衛ラインを突破する突撃艇。
更にその後方より、4戦隊の生き残り………カサブランカとビザン、そして数機のセイバーフィッシュが突入を開始した。
連邦軍を迎え撃つ、狂ったようなメガ粒子砲による砲撃。巨人達の弾幕。
機首に被弾し、ミサイルと共に突っ込むパブリク。
巨人のバズーカから放たれた核弾頭が、友軍もろともビザンを吹き飛ばす。
パブリクを追撃すべく身を翻した巨人の背に、
セイバーフィッシュの対艦ミサイルが突き刺さる。
突っ切ろうとする突撃艇に体当たりし、閃光に消える巨人。

戦場は、まさに地獄絵図の様相を呈していた。

「………全艇へ！射程に入り次第、ミサイルを発射！」
最早通じているかも定かではない通信回線。
第8ミサイル雷撃艦隊は、その数を大きく減らしていた。
ペネトレート1………中隊長は既に巡洋艦を道連れに戦死。
先任の者も次々死んで行き、ついにはラビニアに中隊の指揮権が任された。
もっとも、中隊12機の内、生き残っているのは3機のみ。
艦隊の約7割は既に塵と消えているだろう。
4戦隊に至っては、カサブランカを残すのみのようだ。

だが、ついに標的………コロニー後端部、核パルスエンジンを射程に捉えた。
「あと3度………2度………照準………良し！」
宙雷士と通信士が計算したミサイルの命中軌道に、装舵手が死に物狂いで合わせる。
友軍数艇が追随しているのを確認し、ラビニアは叫んだ。
「ペネトレート7、ミサイル発射！！」
「ミサイル………リリース！！」
ラビニアと宙雷士の声と共に、軽い衝撃。
そして底部より、2発の大型ミサイルが解き放たれた。
≪ペネトレート8、ミサイル発射！≫
≪ペネトレート12、ミサイル発………≫
次々と放たれる大型ミサイル。
同時に、ペネトレート12へとメガ粒子砲が直撃した。
「突入用ブースター、パージ！離脱開始！！」
「ブースター、パージ！離脱………開始！！」
爆散する友軍機を背に、機体を翻すペネトレート7と8。
他中隊のパブリクも次々とミサイルを発射し、ブースターを切り離して離脱する。
「着弾まで10！9………8………」
「頼むぜ、ここまで来たんだ………当たってくれよ………！」
カウントを読み上げる通信士と、祈るような宙雷士の声。
ラビニアもまた、周辺を警戒しつつも後方モニターでコロニーを見ていた。
巨人の弾幕で迎撃される大型ミサイル。
だが、全ては止まらない。
核パルスエンジンの基部へ向け、吸い込まれるように飛び続ける。
「4………3………弾着、今！」
コロニー後端部に、爆発。
核パルスエンジンの劫火が、僅かに咳き込む。
4戦隊と8宙雷の、サイド2出身の兵士達の執念が成功させた攻撃だった。
「………思い知ったか、ジオニスト共！ハッテ生まれ舐めんなよ！！」
喝采を上げ、後方へ向け中指を突き立てる宙雷士。
核パルスエンジンの完全破壊には至らなかったが、
ルナツー艦隊の時間稼ぎ程度の役目は果たせたはずだ。
ラビニアも思わず、大きく息を吐く。

死神は、その瞬間を見逃さなかった。

「………敵機、直上！」
通信士の叫びと装舵手の悲鳴。
機体がロールし、回避運動を取るが間に合わない。
ラビニアが最後に見たのは、肩と頭部を白く染めた1つ目の巨人と、
切り裂かれた機体から吸い出されるクルー達の姿だった。

「………尉………えますか、少尉。クォーツ少尉！」
眩しい照明、人の声。
それを認識するまで、たっぷり数秒がかかった。
「良かった………ラビニア・クォーツ少尉ですね、聞こえますか？」
「聞こえるから………少しトーンを落として頂戴。頭が割れそうよ。」
顔をしかめて周囲を見渡す。
見たところ地獄では無いようだが、パブリクの艇内という訳でもない。
姿が見えるのは重宇宙服を着た連邦兵が2人………軍曹と兵長の階級章を付けている。
「地獄にしては、味気ない空間ね。そうなるとジオンの捕虜にでもなったかしら。」
「今後は判りませんが、今の所両方とも違います。
　ここは、大破したカサブランカの艦内です。」
兵長に簡単な診察をされながら、軍曹に状況の説明を受ける。

………カサブランカは敵の攻撃を受け艦橋と機関部が大破。
撃沈こそ免れたが損傷は甚大で、艦首もへし折れスクラップ同然だという。
だからこそ、ジオン軍は見逃したのだろう。
しぶとく生き残った乗組員達は機能している電源とエアロック、
更に稼働するランチを確保。
ジオン艦隊の離脱を確認した後、生存者の捜索を開始したのだ。
艦内からは多数の生存者が発見されたが、周囲の残骸………撃破されたパブリクや敵機の捜索結果は惨憺たる物で、
ラビニアが唯一の生存者として、大破したペネトレート7から救出されたらしい。
既に、戦闘開始から半日が過ぎていた。

「………イフィッシュは？」
ラビニアの短い問いに、軍曹は表情を曇らせる。
「………不明です。ここから見えないと言う事は、落下を続けているのでしょう。」
「………そう。」

止められなかった。
中隊の面々とクルー達………その命を対価としても、まだ足りなかったと言う事か。

ラビニアは涙を武器とするタイプの女性でも、
感情を殊更押し殺すタイプでも無かったが、こんな状況でも涙が溢れる事はなかった。
ただ、炎の残滓がくすぶっているような虚しさだけが感じられた。
「………先ほど通信が復旧し、友軍艦艇と連絡が取れました。
　アルジャーノンが我々の後を追ってきてくれていたようで、
　あと小一時間ほどで周辺宙域に到着します………。」
軍曹の説明はその後も続いたが、ラビニアは覚えていなかった。
少し休んでからランチの船体に掴まり………船内は重傷者で一杯だった………
残骸の群れの中を、アルジャーノンの箱型の艦体へ向け進んでいた。

周囲には無数のパブリクやセイバーフィッシュ、そして巨人の残骸。
特徴的な1つ目の頭部を見る度、最後の光景が鮮明に思い出される。
「………上等だわ。」
くすぶっていた炎が、再び燃え上がる。
砕けた1つ目の頭部を睨み、ラビニアは決意した。
「地獄へ行き損ねたなら、また飛び込むだけよ。
　道連れが足りないと言うのなら、デカブツを何匹でも連れて行ってあげるわ。」
&quot;ペネトレーター&quot;………1発の貫通弾として。
クルー達を、戦友達を、故郷を奪い去った巨人の、最後の1匹を撃ち貫くまで。

彼女の戦いは終わらない。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「突撃艇」という名前が既に、無謀の塊だと思います。
連装小型ミサイルランチャーと40mm機関砲はGジェネには登場しませんが、
実はパブリクに標準装備されている補助兵装らしいです。
何故登場させなかった。これさえあればもう少し………！

S2艦隊や第4戦隊、第8ミサイル雷撃艦隊の攻撃が、
ブリティッシュ作戦をどこまで妨害できたのかは一切不明です。
ただ、ティアンム艦隊はルナツーから軌道上への展開が間に合い、
それでもコロニーは地球へと落下しています。
もし、彼らが攻撃しなければ、ティアンム艦隊は間に合わなかったかも………。
そうなれば、コロニーは崩壊する事無くジャブローを直撃していたかも………。
そう考えながら書きました。
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<entry>
   <title>HELL DIVE 前編</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://cross-fire.mods.jp/blog/2011/05/hell_dive.html" />
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   <published>2011-05-27T14:03:22Z</published>
   <updated>2011-10-02T03:10:00Z</updated>
   
   <summary>宇宙世紀0079年1月5日 宇宙空間を、1本の矢が飛んでいた。 サイド2、8バン...</summary>
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      宇宙世紀0079年1月5日

宇宙空間を、1本の矢が飛んでいた。

サイド2、8バンチコロニー「アイランド・イフィッシュ」

核パルスエンジンの轟々たる噴射炎によって、ただひたすらに地球を目指すそれは、
今や人類史上最大・最悪の質量兵器となり果てた。

「ブリティッシュ作戦」

スペースコロニーを巨大な弾頭に見立て、軌道上より地球へと落下させる空前絶後の作戦である。

公国軍の護衛艦隊によって周囲を固められ、巨大な矢として飛び続けるコロニー。
その後方に、戦闘の光が続いていた。
      ≪止まれ！止まれ！！≫
悲鳴に近い怒号。
数機のセイバーフィッシュが、コロニーへと追いすがる。
既に友軍は壊滅し、帰るべき母艦すら沈められているのに、一切の迷いも無く追撃を続ける。
………いや。彼にとっては、その「帰るべき場所」こそが眼前のコロニーだった。
サイド2防衛艦隊。その残存部隊が、追撃戦を続けているのだ。
≪そいつは俺達の街だ！家族が居るんだぞ！！≫
視界の端で僚機が被弾。近距離通信に響く絶叫。
それすらも無視して、彼はコロニーを追い続ける。
≪同じ宇宙民なら判るだろうが！それを貴様ら………≫
血を吐くような叫びに、警告音が重なった。直後に衝撃。

───許されると思うなよ！！

彼の最期の言葉は、誰にも届かなかった。
推進剤に引火し、爆散するセイバーフィッシュ。
その閃光の残滓を蹴散らすように突っ切って、1機の「巨人」が出現した。
「手足」を振って姿勢を変え、アポジモーターを吹かして静止。
無機質な輝きを放つ赤いモノアイを動かし、周囲を索敵する。

MS-06C「ザクⅡ」

頭部に角状のブレードアンテナを装備した小隊長機が、マシンガンの弾倉を交換しつつ僚機に指示を出す。
≪………残敵の掃討完了。一度補給に戻る。≫
短い通信の後、母艦に戻るべくスラスターに点火。
2機のザクがそれに従い、見事な逆V字型の編隊を組んだ。
瞬く間に去ってゆく巨人達とコロニー。
周囲には、今や宇宙を漂うデブリとなった連邦軍機だけが残された。

「………これが、6時間前だ。」
ざわめきが、さざ波のように広がった。

サラミス級巡洋艦「カサブランカ」

地球連邦宇宙軍、第4戦隊の旗艦であるその艦のブリーフィングルームには、
パイロットスーツや軽宇宙服………後に、ノーマルスーツと呼ばれる事となるそれら………に身を包んだ、
50人近い士官達が集まっていた。
第4戦隊、そして第8ミサイル雷撃艦隊所属のパイロットや突撃艇の艇長、幹部達である。
一様に、その表情は固い。
「この攻撃に失敗したS2艦隊は継戦能力を喪失。
　残余はコロニー攻撃を断念し、追跡監視を行っている。
　………だが、成果は芳しくない。」
ブリーフィングを行っている大尉はそこで言葉を切り、軽く合図した。
S2艦隊壊滅までの状況が詳細に表示されている戦術マップが、時刻表示と共に変化する。
「………ジオン艦隊は無指向性の広域ジャミングを展開。S2艦隊残余は一時、
　偵察・監視はおろか、他部隊への通信すら覚束ない状況に陥った。」
広域ジャミング。その言葉に、再び一同がざわめく。
それを無視して、大尉は説明を続けた。
「ジャミングを抜け、友軍と接触を回復したのが4時間前。
　1時間前に再びS2艦隊は交信途絶状態となったが………
　彼らが集めた情報によって、敵のおおよそな戦力と………
　コロニーの、落下予測軌道が判明した。」
大尉の言葉と共に、変化してゆく戦術マップ。
S2艦隊が再び消息を絶った宙域と、その時点でのコロニーの位置。
そこから、落下予測軌道の点線が地球へと伸びてゆく。
地球へ近付く度、表示はズームされて行き………
大気圏突入後の予測軌道を経て、点線は地表のある一点を指した。
その位置を、皆ある程度予想はしていただろう。

南米大陸。
地球連邦軍の総司令部、ジャブローが存在する場所だった。

「これを受け、コロニーを迎撃可能な全艦艇に、ルナツーへの集結命令が下された………が、
　我々第4戦隊と第8ミサイル雷撃艦隊の諸官には、別の命令が出ている。」
三度、ざわめく室内。
照明が点灯し、大尉に代わって少将の階級章を付けた壮年の男が前に出た。
カサブランカ以下4艦で構成される第4戦隊。その戦隊司令だ。
年相応の皺が刻まれているが、髭を綺麗に剃った顔。
人気のベテラン映画俳優によく似た戦隊司令は、集まる士官達を見渡した後に、よく通る声でその命令を告げた………。

「第4戦隊及び第8ミサイル雷撃艦隊は、如何なる対価を払ったとしてもコロニーを破壊、
　もしくは落下軌道より排除せよ………ね。」
命令を反芻した後、ラビニア・クォーツ少尉は深く深く嘆息した。
「言うは易いわね………。」
「どうしたんです、艇長？」
訝る装舵手に軽く手を挙げ、何でもないと示す。

女性では珍しい突撃艇の艇長として、第8ミサイル雷撃艦隊に配属されたのが昨年8月。
それから半年も経たない内に、まさか「死んでこい」と同義の命令を受ける事になろうとは………自分も、よくよく運がない。

「8宙雷の美人すぎる突撃艇長って、評判も上々だったのに………美人薄命とは、運命も残酷ね。」
「ご自身でそれを仰るのですか。」
呆れ声の装舵手に、突撃艇の命である雷撃管制を担当する宙雷士も同意する。
「大丈夫ッスよ。艇長は、薄命ってイメージから最も遠い場所に居ますから。」
「カーター。アナタ、薄命の意味を身を以て知りたいのかしら。」
「ノー・メム。自分もまた、その言葉に縁の無いタイプの人間だと思っています。」
おどけたように笑う宙雷士。
ラビニアもフン、と鼻を鳴らし、シートに身体を固定し直した。
「………どうせなら、縁の無いままで居たいものね。」
「違いありません。」
ハハハ、と乾いた笑いを漏らす宙雷士と装舵手。
その無駄話に参加していなかった通信士が、静かな声で報告する。
「艇長。推進剤の補給、完了しました。」
眼前のモニターに表示されるステータスを確認。
ざっと目を通し、視線を正面に戻すと船外活動中の整備兵が、発進準備よろしの合図を送っている。
それに敬礼で答え、軽宇宙服のヘルメットを装着。
「報告。」
「装舵、良し。」
「宙雷、良し。」
「通信、良し。」
全員が必要最小限の言葉で準備良しを報告。
クルーのきびきびとした態度に満足しながら、ラビニアは次の指示を出した。
「了解………ワイヤー、パージ用意。」
「レディ。」
装舵手が、スイッチの1つに手をかけながら返答。
推進剤の補給を安全に行う為、コロンブス級輸送艦と接続されている固定ワイヤー。
それを切り離し、宇宙へと進出する準備が整ったのだ。
「………ペネトレート7よりアルジャーノン。補給完了を確認、発進準備良し。」
≪アルジャーノンよりペネトレート7、了解。発進を許可する………幸運を祈る！≫
「アルジャーノン、支援感謝する………ペネトレート7、発進。
　ワイヤー、パージ。微速前進。」
「ワイヤー、パージ。微速前進。」
ゴン、と軽い振動。
そして、左側面のコロンブス級輸送艦………アルジャーノンの艦体が、そろそろと後方へ離れてゆく。
爆発的な推力を生み出すブースターを低出力で点火。
ペネトレート7………パブリク型突撃艇は徐々に加速し、同型機が組む編隊へと加わった。
周囲にはペネトレート中隊所属のパブリクが12艇で浅いV字の編隊を組み、
同編成の2個中隊と共に更に大きなV字を描いている。
3個中隊、36艇。それが、第8ミサイル雷撃艦隊の擁する突撃艇の数だった。
「通信、データリンクはアテにしないで。いずれ例のジャミングで妨害されるわ。
　艦隊間レーザー通信での意思疎通を絶やさないように。」
「了解。」
「装舵も同じ。目視と自身の技量、経験、勘を以て編隊を維持なさい。」
「了解です。」
クルーに対し指示を出しつつ、データリンクを呼び出す。
ジャミング圏外にいる間は非常に有用なのだが、一度リンクが切断されたならば、
あとは各艇長の指揮とクルーの連携に全てが賭けられる事となる。
「7より1。補給完了、配置に就いた。」
≪了解………ペネトレート1より各艇。作戦に変更無し。
　地獄へダイブだ、存分に楽しめ。≫
各艇より、了解の返答。
ラビニアも応えつつ、ブリーフィングルームでの説明を思い出していた。

………ジオンが行っている広域ジャミングは、例えるならば戦場に発生した「霧」だ。
霧に対し備えていなければ当然混乱し、逆にその特性を理解していれば利用もできる。
ジオンは、この「霧」を任意に発生させる技術を確立し、それを戦術に組み込んだのだ。
………だが、霧の中からも、外の状況は掴みづらいはず。
特定のレーダー周波数を妨害するのではなく無指向性ジャミングである以上、
ジオン艦隊も長距離索敵の目は潰されていると考えて間違いはあるまい。
そして、霧はいつか晴れる。
いかにジオンといえども、常に霧の中に巨大な、しかも移動中のコロニーを隠し続ける事など不可能だ。
奴らが、霧から抜けた時。
その一瞬に、我々は全てを賭ける。

そう切り出した第4戦隊戦隊司令が説明した作戦概要………
第4戦隊と第8ミサイル雷撃艦隊、両隊司令部が立案したそれは、
コロニー周辺に展開される広域ジャミングを逆手に取ったものだ。
投入可能な戦力で実現しうる、最大の効果が望める作戦。
説明を受けた8宙雷の艇長達は不敵に笑い、彼らを束ねる中隊長3人はこう嘯いた。

ジオン艦隊の擁する艦艇は、規模の割に対宙戦闘能力が低い。
サラミス級やマゼラン級といった連邦宇宙軍艦艇と比較すれば、明らかに見劣りする。
詳細不明の「高性能な艦載機」の情報が上がっているが、その援護があっても鉄壁の防御とはいくまい。
針の穴ほどの隙でもあれば充分だ。
我々はそこをこじ開け、対艦ミサイルをブチ込んでみせる。

その言葉を受けた第4戦隊司令は静かに頷き、深呼吸を1度。
そしてブリーフィングルームを見渡し、全員の目を順番に見ながらこう言った。
「我が軍に………地球に、今必要なのは時間だ。
　ルナツーから出撃する艦隊が展開するまで。
　地球からのミサイルによる攻撃準備が整うまで。
　コロニーを一分一秒でも足止めする必要がある。
　………我々は、その一分一秒を絞り出す為、捨て駒となる。
　許せ、とは言うまい。それが諸君らと、私に課せられた義務だ。
　ただ、地球のために。諸君らの勇戦を期待する。」
ブリーフィングルームに集った士官達は、敬礼する事で意志を示した。
戦隊司令が言った「FOR ALL EARTH(ただ、地球のために)」を合い言葉に、
4戦隊と8宙雷の両隊は、最大戦速でコロニーを追い続けている。

「ただ、地球のために………これだから男って生き物は。
　ヒロイズムと悲壮美に酔ったら、ろくな目に遭わないわよ。」
「ご自分で仰っているほど、嫌そうには見えませんが。」
独り言にも律儀に突っ込む装舵手にフン、と鼻を鳴らす。
7番艇であるラビニアのペネトレート7周辺には、同中隊所属のパブリクが巨大な対艦ミサイルを抱え、星の海を進んでいる。
それを横目に見ながら、ラビニアは静かに呟いた。
「………ヤツらを殺せるなら、何だって構いはしないわ。」
その声は、絶対零度で凍らせた怒りの炎だ。
どんなに高性能な融合炉でも生み出せない、強大なエネルギーを秘めている
「………同感ッスね。抱えたミサイル全弾ブチ込むまでは、死んでも死に切れねぇ。」
宙雷士が、感情を押し殺した声で同意する。
通信士も、拳を握り眼前のモニターを睨んでいた。

第4戦隊、そして第8ミサイル雷撃艦隊は、サイド2を拠点とする部隊だった。
当然、同サイド出身の隊員も多い。

ジオン公国が地球連邦に対し宣戦を布告した1月3日。
両隊は演習の為、サイド2を離れており、ジオンの奇襲を免れた。
それは、戦力温存という面では幸運だったのかもしれない。
しかし、隊員達は守るはずだったサイド、そこに居た家族、恋人、友人………その全てを失った。
あまつさえ、その「家」の一つを兵器として転用され、地球への攻撃に使われようとしているのだ。
隊員達のジオン公国に対する感情は、憎悪の一言で片付けるにはあまりにも苛烈過ぎた。

そして、それを御する4戦隊司令の放った言葉。

ただ、地球のために。

その一言は、宇宙民でありながら地球連邦軍に志願した隊員達にとって、その存在意義を問うものだった。

サイド2を、全てを奪われただけでなく、地球をも蹂躙させるのか？

それに是と答える者は、地球連邦軍の兵士ではない。

「………自分達が誰に喧嘩を売ったのか、何をしでかしたのか………
　ジオニストの豚共に、思い知らせてやろうじゃない。
　血の代価は、血で支払わせるのよ。」
ラビニアの言葉は、4戦隊と8宙雷の全将兵の心を代弁したものだった。

そして両隊は、着実にコロニーとの距離を詰めてゆく。
まるで、「アイランド・イフィッシュ」に呼ばれているかのように………。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

開戦当初の連邦宇宙軍………特に各サイド守備隊は、相当絶望的な戦闘を繰り広げています。
MSはもちろん核に毒ガス、何でもアリな奇襲を前に、戦線は崩壊。
開戦から48時間で、28億もの犠牲者と共に3つのサイドが壊滅。
1年戦争全体の犠牲者の約半数が、たったの2日で発生した事になります。

そんな状況下でのブリティッシュ作戦。
これを察知した連邦宇宙軍はティアンム艦隊を主力に迎撃していますが………
実は、それ以前に足止め攻撃を仕掛けた部隊が居たりします。
それが、今回取り上げたS2艦隊の生き残りと、第4戦隊及び第8ミサイル雷撃艦隊。
設定資料上の存在で詳細は全く不明ですが、だからこそ好き勝手書けるってもんです。

そんなわけで、我らがラビニア姐さんの話を書いてみました。
思えば紙芝居開始当初から、突撃艇乗りのボスでした。
きっと今後もそのままです。ゲーム中では何でも乗ってますけど。
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   <title>空が落ちた日</title>
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   <published>2011-05-03T13:10:51Z</published>
   <updated>2011-10-02T03:05:37Z</updated>
   
   <summary>宇宙世紀0079年 ≪イフィッシュ、間もなく大気圏突入と思われる！≫ ≪カメラ、...</summary>
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      <![CDATA[宇宙世紀0079年

≪イフィッシュ、間もなく大気圏突入と思われる！≫
≪カメラ、撮り続けろ！全てを記録するんだ！≫
≪コロニーを追跡観測中の敵艦あり、注意せよ。≫

1月10日

≪イフィッシュ、大気圏突入！現在アフリカ上空！！≫
≪………聞こえないぞ、繰り返せ！≫
≪なんて光景だ………！空が、空が落ちて行く！≫

8時27分　地球軌道
</br></br>
………その日、エルンスト・イェーガー少尉は地球を眺めながら飛んでいた。

無論、生身で宇宙空間を漂っているわけではない。
鈍重なシャトル、或いは重武装の航宙戦闘艦の窓から眺めているわけでもない。
宇宙服としての機能も兼ねるパイロットスーツに身を包み、狭い戦闘機のコックピットで操縦桿を握りながら、である。

駆るのは地球連邦軍の誇る迎撃戦闘機、FF-S3セイバーフィッシュ。
4基のブースターユニットを装備した機体を全速で飛ばしながら、エルンストは呆然と地球を眺めていた。]]>
      <![CDATA[≪ショーシャンクよりカトラス4、状況を報告せよ！≫
母艦からの通信にも応えず、その光景を見やる。

状況。

人類が宇宙に築いた新たな大地………スペースコロニーが、
今まさに母なる大地、地球へとその牙を突き立てんとしている状況。

地球からの核ミサイルによる迎撃、更には地球軌道艦隊の艦砲射撃をものともせず
阻止限界点を突破したアイランド・イフィッシュは、 
その落下目標地点………地球連邦軍の総司令部がある南米の秘密基地、
ジャブローへ落下軌道を取っていた。
≪ショーシャンクよりカトラス4！応答せよ！カトラス4！！≫
「！！」
何度目かの呼び掛けで我に返ったエルンストは、早口で目にした情報を報告した。
「カトラス4よりショーシャンク！大気圏へ突入せるアイランド・イフィッシュは、
　ミラー脱落等のダメージは確認できるものの形状そのまま、なお落下中！！
　突入より………概算で3分が経過！観測を継続する！」
報告を終え、深呼吸を1回。冷静さを取り戻したエルンストは、僚機へと指示を下した。
「カトラス4よりカトラス5、観測任務を続行する！離れるなよ！」
≪カトラス5、了解ッ！≫
2機のセイバーフィッシュはコロニーを追うような進路をとり、軌道上を駆ける。
アイランド・イフィッシュはその巨体を灼熱の赤に染め、大気を切り裂きつつ落下を続けている。
周囲には脱落する破片が燃え、きらきらと輝いていた。
人類史上最大の人口建造物………地球に対して垂直に突き立てれば、その先端は成層圏にまで届くスペースコロニー。
それを質量兵器として、隕石の如く地球に叩き付けたら…その被害は？影響は？

どんな馬鹿でも、これだけは判る。

落下地点は地獄だ。

「イフィッシュ、尚も落下中！現在………南大西洋上空！！」
連邦とムンゾ………いや、今やジオン公国と名を変えた
サイド3との関係が悪化しつつあった昨今、
いつか戦争が始まるとは思っていたが………エルンストはまさか、ジオンがコロニー落としなどという戦法を使うことも、
そして自分が地球へと落下するコロニーの観測任務に就くなどとは夢にも思っていなかった。

落下するコロニーはもはや誰にも止められない。
よしんば破壊できたとしても、残骸は巨大な散弾となって地球を襲うだろう。
そうなれば徒に被害地域を増やすだけである。

今のエルンストにできる事は、コロニーを睨み状況を報告する事。
そして地球上の人々にできる事は、ただ祈る事だけだった。
「イフィッシュ、尚も高度を下げつつあり！現在アラビア………あッ！」
何度目かの報告をしようとした矢先、アラビア半島上空を落下するコロニーに変化があった。
「アイランド・イフィッシュはアラビア半島上空にて崩壊！繰り返す、イフィッシュ崩壊！
　円筒前半と後半の2つ………いや、後半更に崩れる！大別して3つだ！！」
連邦艦隊の必死の迎撃による結果か、大気圏突入の衝撃に耐え切れなくなったのか………
その巨体が、崩壊を始めたのだ。
≪………！！≫
カトラス5のパイロットが息を呑む。
世紀の瞬間………その様子を記録する為、彼はコックピットからカメラを回し続けていた。
「こいつは………落下コースがぶれるぞ！」
果たしてコロニーは、エルンストの言葉通り大きく落下コースを変える。
「カトラス5、落下地点の予測は可能か！？」
≪不確定要素が多すぎます！予測なんて不可能です！≫
悲鳴のような、怒声のようなやり取りを繰り返す。
一瞬の逡巡の後、エルンストは、3つのうち最も大きなひとつ………コロニーの前半部分を追跡するコースを取った。
破片を撒き散らしながら、落下を続けるイフィッシュ。
大気圏突入より、11分が過ぎていた。
「イフィッシュ前半部、尚も高度を下げる！このまま行けば、太平洋上か………」
追跡を継続しながらの落下予測………
地球側から見れば背面飛行のような状態のエルンストの視界に、青い海に囲まれた、雄大な大地が飛び込んだ。
「………オーストラリアに、落ちる。」
≪………！≫
絶句する2人をよそに、イフィッシュは落下を続ける。
エルンストの予測通り、その進路はオーストラリア大陸を目指していた。
「カトラス4よりショーシャンク！観測中のコロニー前半部は、オーストラリア大陸に落着の公算大！」
母艦に報告しつつ機体を180度ロールさせ、地球を足下に。
カトラス5もそれにならい、エルンスト機の右後方にピタリと追随する。
しかし、母艦のショーシャンクからの返答は全く無かった。
舌打ちを一つして報告を繰り返そうとしたその矢先。
≪警告！11時の方向、敵巡洋艦！！≫
「！」
カトラス5からの警告に、エルンストは自らの迂闊さを呪う。
コロニーに気を取られ、敵艦に接近しすぎるとは。
「ブレイク！スターボード、ナウ！！ケツ捲るぞ、ついて来い！」
≪了解！≫
ただちに回避運動。相対方向で右旋回、敵艦から距離を取る機動を行う。
相手も観測中だったのか、敵艦の反応は鈍い。
しかし、敵は巡洋艦だけではなかった。
「………ッ！？な、何だありゃあ！？」

眼前に、人影。

重宇宙服を着た人間。

そう思ったのは、最初の一瞬だけだった。
「やべえぞッ！カトラス5、ブレイク！ハード・ポート！！」
僚機に急速左旋回を指示し、自分も操縦桿を引き倒す。
≪カトラス4！？≫
「接敵するな、振り切れ！」
全ブースターに点火。観測任務も放り出し、この場からの離脱を図る。

あれはヤバい。

報告の上がっていた、赤く光る一つ目を持った緑の巨人。
ジオンが投入した新兵器。ティアンム艦隊を壊滅させた機動歩兵。
それが、こちらに向け銃を構えていた。

パッ、パッと眼前を光が横切る。巨人からの銃撃。
機体を滑らせ、出せる限りの速度で逃げ回る。
巨人も逃がすまいと追ってくるが、加速はこちらに分があるようだ。
そう思った瞬間、前方にもう1機の巨人が現れた。
「───！」
声にならない悲鳴。反射的にトリガーを引き、機体をロールさせる。
25mm機関砲弾を胸部に受け、巨人は一瞬怯んだような素振りを見せた。
トリガーを引いたまま、巨人へ突っ込む。
巨人は左肩のシールドを構えつつ、右手の銃を構えようとしていた。
「遅えよ、デカブツ！！」
その左脇を、エルンスト機は高速でパスした。
巨人は振り返らない。
一拍遅れて航続していた、カトラス5を狙っていたのだ。

発砲。

カトラス5は一瞬で火達磨となり、爆散した。
宇宙空間に咲く爆発の花火。断末魔も、爆発音も響かない。
「カッ………！」
僚機を呼ぼうと振り返ったエルンストの視線の先で、別の閃光が瞬いた。

宇宙世紀0079年1月10日、8時41分。

アイランド・イフィッシュ前半部、オーストラリア大陸、シドニーに落着。

「………。」
遠ざかってゆく敵巡洋艦と2機の巨人。
「畜生………！」
見えなくなるオーストラリア大陸とカトラス5の閃光。
「畜生ッ！！」
狭いコックピットの中にすら、エルンストの叫びは響かない。
それでも彼は、母艦との通信が回復するまで叫び続けた。
</br></br>
………結果として、ジオン公国軍による「ブリティッシュ作戦」は失敗。
この後のルウム戦役、地球降下作戦と戦争は激化の一途を辿り、
戦場は鉄の巨人「モビルスーツ」の登場により、その様相を一変させる。
………そして今日この日から、エルンスト・イェーガーと「モビルスーツ」という巨人との、終わり無き戦いの幕が開けた………。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

序文の投稿から2ヶ月近く経ってしまいましたが…ようやく1つ目です。
最近の動画でガルンの過去を描いてみましたが、
ウチみたいな部隊に居るからには、皆何らかの事情があるんだと思い、
そういう裏話的なモノを色々考えてみました。
エルンストの兄貴は好きですね。攻略でも頼りにしています。

私事ですが、先日、宮城より戻ってまいりました。
任務完了というわけではなく、一時的な休養…戦力回復の為です。
今の所時期は未定ですが、再び派遣される事になると思います。
「春のうちに」と考えていた動画の方は、夏までずれ込む可能性が高いです。
待って頂いている方々には申し訳ありませんが、何卒ご理解の程。]]>
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   <title>序文</title>
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   <published>2011-03-08T11:05:42Z</published>
   <updated>2011-03-08T11:21:25Z</updated>
   
   <summary>お伽噺には、勇者がつきものだ。 全てを斬り裂く聖なる剣。 あらゆる魔法を弾く破邪...</summary>
   <author>
      <name>nekoya</name>
      <uri>nekoya</uri>
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         <category term="0003400-CWU" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://cross-fire.mods.jp/blog/">
      <![CDATA[お伽噺には、勇者がつきものだ。
</br></br>
全てを斬り裂く聖なる剣。
あらゆる魔法を弾く破邪の盾。
狙った獲物は必ず貫く神の槍。
どんな攻撃も物ともしない銀の鎧………。
</br></br>
勇者とその仲間達は相応しい装備を携え、魔王討伐の冒険へと臨む。
そして、その名に恥じぬ活躍を繰り広げ、
魔王から囚われの王女を救い出す………。

それが、お伽噺のあるべき姿。
物語は、それで終わり。]]>
      <![CDATA[しかし。

勇者達が不在の間、王国を魔王の軍勢から守ったのは誰であろうか。

………それはきっと、聖なる剣も、破邪の盾も持たない一兵士達だろう。
鉄の剣と鉄の鎧を与えられた、無名の英雄達だ。

彼らは、勇者達の華々しい活躍の陰で、
その冒険の成功を信じて王国を守り抜いたに違いない。

………決して謳われない、壮絶な死闘を続けながら。
</br></br></br>
この物語はそんな、鉄の剣と鉄の鎧で戦った、名も無き兵士達の物語である。]]>
   </content>
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   <title>SS化計画</title>
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   <published>2011-01-23T00:23:59Z</published>
   <updated>2011-01-23T12:41:13Z</updated>
   
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      放置していたBlogを再利用しようという事で、手始めに記事をバッサリ整理。
整理ってか跡形も無く消してますね。キレイさっぱり。
新しいVerのMTにアップグレードしようかとも一瞬思ったんですが、
今の自分のスキルでは正直面倒なだけだと判断して3.34のまま行きます。

で、何をしようかと考えたんですが…ニコニコに投稿中のシリーズ動画、
「GジェネF 通常兵器部隊で攻略」を自分でSS化したいなと。
      <![CDATA[最初は普通の縛り動画だったんですが、途中から紙芝居入りになりまして。
中弛み防止、自己満等々の企てをもって始めた紙芝居ですが、
嬉しい事に「この動画に影響を受けました」と仰ってくれる方がちらほらと。
自分の作った紙芝居を評価して頂ける事は、これほど嬉しいものかと思いました。

そして、こうも思うようになりました。
もっとちゃんと自分の頭ん中の話を形にしてみたい。

尺の都合等で泣く泣く削ったエピソード。
「コイツならこう考え、こう動くだろうな」という自分の中でのキャラクターの行動。
悲しいかな、どれも自分の編集技術では表現しきれないものばかりです。

しかし、動画単体で表現できなくとも、文章を付加してみればどうか。

映画だって原作やノベライズ版を読めば違った側面が見えてきます。
そういった大層なモノじゃなくても良いんです。
動画をより楽しんでもらうためのサイドメニューとして、
SS的な読み物があってもいんじゃね？というのが主な理由。
後はやはり自己満足です。なので自分でコッソリ書いてうｐする事にします。

書きたいなと思ってるのは大雑把には以下の通り。

1.宇宙世紀編(0083編からの動画を追う本編。)
2.序章的なモノ(一年戦争中の話。ルウム戦役とか欧州撤退戦とか。)
3.番外編(W編、X編等々のアナザー世界。)

本編が0083からなのは時系列的な問題と<s>左遷</s>志願兵の出揃い具合からです。
一年戦争中は物語が入り乱れてる事、キャラクターがまだ加入しきっていない事から、
序章として美味しい話だけピックアップしようかなと。
0083からならばオリキャラ達はほぼ出揃ってますし、
時系列的にも矛盾は生じにくいですから。…長寿に関しては気にしない方針で。

そんなセルフ二次創作SSです。
動画編集と違って大した労力も無く手元のスマホから投稿できるので、
暇をみつけて書いては投稿しようと思います。
皆様どうぞよろしくお願いします。]]>
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